NECのグループ会社「ネッツエスアイ東洋」から約2億7千万円を着服した容疑で、元社員(50歳)が逮捕されたという記事。
「捜査2課によると、××容疑者は同社経理部の財務マネジャーだった昨年1~11月、自社の小切手9通を都内の金融機関で現金化し、約2億7100万円を横領した疑いがある。主にインターネットでの馬券購入につぎ込み、一度に1千万円以上購入することもあったという。」
着服額は、総額約20億円にも上るそうです。
手口も含めて比較的詳しく書かれています。(調査報告書へのリンクもあり)
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NECネッツエスアイ子会社の元経理部員逮捕、8年にわたって18億円着服か(ITpro)
「ネッツエスアイ東洋は紙幣識別装置を製造しており、評価用の現金を普通預金で出し入れすること自体は社内業務上珍しいことではなかったようだ。」
「被害額の大半を占めた手口は、社会保険料の納付小切手とファームバンキング(法人向けオンライン銀行サービス)を悪用するものだったという。小切手ではなくファームバンキングのPay-easy(ペイジー)機能を使って社会保険料を納付。手元に残った小切手を銀行などで換金して着服していた。
そのままでは会社の当座預金で二重に社会保険料が引き落とされることになるが、元社員は会計システムで特殊な会計仕訳を登録できる立場にあった。これを悪用し、着服分の引き落としについて売掛金を増額する形で処理。不正の発覚を免れていた。最終的には、出どころ不明の売掛金が増大していることに着目した調査によって不正が発覚した。」
少しピンとこないところがありますが、売掛金にしわ寄せさせていたとすれば、預金の残高は合っていたのかもしれません。しかし、「売掛金を増額する」といっても、「(借)売掛金 (貸)当座預金」という仕訳では、あまりにも不自然で、すぐにばれてしまいます。時間があれば、調査報告書を読んで確かめたいと思います。
飛ばし読みですが・・・
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(調査報告書より)
監査技術的には、いわゆる仕訳テストをやれば、発見できるのかもしれません。売掛金の残高内訳を、試査ベースかもしれませんが、ひとつひとつ確かめていくというオーソドックスな方法も、もちろんあります。
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