米財務省、AI活用で小切手詐欺の被害額1500億円相当の回収に成功
米財務省が、小切手詐欺による被害10億ドルを人工知能により回収できたという記事。今はやりの生成AIではなく、機械学習AIが使われたそうです。
「米財務省が膨大な量のデータを精査し、2024会計年度だけで小切手詐欺によって奪われた10億ドル(約1500億円)相当を回収するのに人工知能(AI)が役立ったことが分かった。CNNが入手した新たな推計で明らかになった。これは、財務省が前年度に回収した金額のほぼ3倍に当たる。
財務省は、機械学習AIが24年度に全体として40億ドル以上の詐欺を防ぎ、回収するのに役立ったと評価している。この金額は前年の6倍に相当する。」
「財務省は毎年、1億人に14億件、約7兆ドル相当の支払いを行っている。支払いは社会保障費や連邦職員の給与、税金の還付など多岐にわたる。
そのため財務省は納税者から窃取しようとする詐欺師の主要な標的となっている。」
銀行やクレジットカード会社がすでに行っている方法を参考に、22年後半から金融犯罪検出にAIを使用し始めたのだそうです。
AIを利用するより先に、小切手を利用するのをやめた方がよいのではないかとも思いますが...
記事原文。
AI helped the feds catch $1 billion of fraud in one year. And it’s just getting started(CNN)
小切手詐欺の解説。
Cheque fraud(ウィキペディア)
カイティングもCheque fraudの一種だそうです。
Cheque fraud or check fraud (American English) refers to a category of criminal acts that involve making the unlawful use of cheques in order to illegally acquire or borrow funds that do not exist within the account balance or account-holder's legal ownership. Most methods involve taking advantage of the float (the time between the negotiation of the cheque and its clearance at the cheque writer's financial institution) to draw out these funds. Specific kinds of cheque fraud include cheque kiting, where funds are deposited before the end of the float period to cover the fraud, and paper hanging, where the float offers the opportunity to write fraudulent cheques but the account is never replenished.
米国における小切手。
なぜアメリカ人だけが「小切手」を使い続けるのか 国によって好まれる決済方法が変わる理由(東洋経済)
「アメリカ以外の国ではほぼどこでも、いまや銀行口座振替が主流であるが、アメリカ人はいまだに請求書の支払いに小切手を使っている。アメリカでは毎年およそ150億枚の小切手が切られている──アメリカ人1人当たり1週間に1枚の計算になる。」
「見過ごされることの多いもう1つの利点としては、小切手では「ファットフィンガー」(太い指)エラー、すなわち支払い手が金額や通貨を間違えて入力するというミスが起きにくい。これは意外とよくあることなのだ。そして心強いことに、私たちのような凡人に限った話ではない。
2020年の半ば、シティバンクは、顧客に、顧客が受け取るべき金額の100倍を誤って送金するという9億ドルあまりのミスを犯した。2018年、同じことがドイツ銀行の不幸な行員に起こり、350億ドルが誤送金された。この金額は、同行の時価総額を50億ドルも上回るものだった。」
米国の小切手詐欺問題(トラベルジャーナル)
「米国では支払いに個人小切手を郵送することが多い。しかし小切手を手書きし、ポストに投函するという便利な支払いが、いまではリスクの高い方法になったとニューヨーク・タイムズが伝えた。
理由は盗難と偽造だ。ある被害者はポストに投函した少額小切手の1枚が盗まれ、別人宛ての高額小切手に書き換えられた。そのため銀行預金が枯渇し他の支払いができなくなった。銀行はこの問題を調査中で被害者は2カ月後も自身の口座から盗まれた金を補償されていない。
数十億ドルの損害を受けている銀行は厳戒態勢を敷いて詐欺行為の摘発に躍起だ。疑わしい口座を銀行が突然凍結するため無実の顧客を巻き込むことも日常的に起きている。一方、犯罪者の多くは何の足跡も残さず姿を消したまま。犯罪者は最も簡便に金が儲かる所に群がるようだ。」