会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

[社説]不正会計の連鎖断ちきり市場の信認を(日経より)

[社説]不正会計の連鎖断ちきり市場の信認を(記事冒頭のみ)

三大監査法人がそれぞれ監査していながら粉飾を見逃したグレイステクノロジー、EduLab、アウトソーシングの名前を出して、上場企業の不正会計が多い、すべての関係者が不正根絶に向けて力を尽くすべきという社説。

資本市場の規律が緩みきっていると言わざるをえない。東京証券取引所に上場する企業が、業績などをごまかす不正会計に走る例が後を絶たない。

東証は1月27日、マニュアル作成のグレイステクノロジーの上場廃止を決めた。架空売上高の計上が発覚し、その後も決算数値を確定できなかったからだ。同社のほかには昨年来、教育事業のEduLab(エデュラボ)や人材派遣のアウトソーシングの決算操作も明らかになった。」

すべての関係者として、監査人、経営者、市場監督者を挙げてはいるのですが、第一のターゲットは監査人のようです。

公認会計士が足りないのが背景にあるから、会計士試験受験者増加の取り組みを加速させるべき、(不正会計とどう関係があるのか分かりませんが)試験合格者に対しAIやIFRSの研修を十分に実施すべき、といった対策を述べています。

経営者に関しては、外部の目ということで、社外取締役の研修、弁護士へのホットラインなどを挙げています。

そのほか、罰則強化も考えられるといっています。

考えてみれば、不正会計を行うのは、会社、とくに経営者なのですから、監査人への対策ばかり考えても無駄でしょう。監査人は、うっかり会社にだまされてしまったという罪はあるにしても、常識的に考えれば、だまされた側よりだました方が悪いに決まっています。経営者への対策が最重要でしょう。上場会社監査事務所の登録制度の前に、上場会社役員・財務責任者の登録制度を設けて、違反があれば、登録抹消し、上場会社に関与できなくするのがよいと思います。

罰則強化といっても、東芝の例のように、刑事告発されなければ、民事上の責任は別として、経営者は何の処分も受けないのですから、効果はあまりありません。

コメント一覧

kaikeinews
経営者に責任を負わせるべきというのは、本文に書いたとおりなのですが、問題は、なかなか刑事告発されないという点だと思います。金商法の罰則規定上は、虚偽記載は「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」であり、アメリカほどではないにしても、相当重い刑罰です。しかし、東芝の例のように、明らかに意図的な粉飾だという場合でも、刑事告発はしません。新興企業や地方の中堅不動産会社とか、ゴーン氏のような(ややあやしげな)外国人といった、政官財の中心から見て、アウトサイダー的な人たちを告発したり、バブル崩壊のときの一部金融機関経営者を見せしめ的に告発したりということはあるのですが、相手が日本経済の中心にあるような大企業である場合や、会計基準の解釈など検察では理解が難しい要素が含まれている場合になると、いろいろな忖度が働いたり、根回しが必要で面倒だということなのでしょうが、めったに告発されないようです。
おっしゃる通りです
1.不正した時のペナルティが軽すぎです。アメリカだと、長期刑務所行き、罰金は桁違いです。
2.監査現場の会計士が足りないのは確かです。でも、経験の無い会計士の人数増やしても、不正がどこでどう起こるか仮定して、どこをどのように検証すれば不正が防止・発見できるかは、かなり不正周りの知識・経験のある人間がいて、かつ、会社のシステム設計や業務フロー、コントロールや業績評価制度といったあらゆる面を検討して、初めて可能性が見えてくる話であって、短絡的な議論すぎます。

3.人数増加は監査法人のコスト増加になります。
コスト回収できないと経営していけないので、クライアントに請求せねばなりませんが、監査は民間の営利行為の一部なので、すんなり払ってくれません。これも悩ましい点です。もちろん、不正リスクン高い会社にリソース配分するわけですが。不正ってのは、思いもよらぬ人が思いもよらない方法でやってくるわけで。

4.優秀な人材を、監査というお堅い業界に抱えるには、それなりの見返りが必要です。同じ給料で、もっと気楽で努力もいらず、お役所からうるさいことも言われず、毎日適度な労働で生きていける世界があったらみなそっちに流れます。今の監査法人に対する期待と見返りがあっていないかと思います。外の世界の方が、楽。

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