会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「中国バブル崩壊」はいつ起きるのか(東洋経済より)

「中国バブル崩壊」はいつ起きるのか

レアメタルを扱っている専門商社の社長による解説記事。中国で横行しているという不正な取引について書いている部分を紹介します。

「青島港で起きた、銅やアルミの二重担保の詐欺事件は日本では考えられない不祥事だ。だが、中国では時々起こりえる手口なのである。どういうことか。中国の輸入業者の中には、取引をする際、銀行から一定の期間、低利融資を受けている場合があるが、(この場合、不正に偽造した倉庫や船会社からの預かり証を利用することが多い)、取引先への支払いを実行する時までに途中何があっても、最終的にカネを金融機関に返済をすれば、「別に問題は起こらない」と安易に考えている輩が少なくない、ということだ。

こういう業者は何をするか。少し専門的な用語を使えば、銀行からの信用状の発行を受けながら、取引先への支払いを後払いにして、銅やアルミの「輸入玉」を青島港の保税区に保管し、偽造した「預かり証」をベースに、何度も低利融資をしてもらう。この作業を繰り返すのである。いわば「打ち出の小槌」を振れば、いくらでも低金利融資による資金を生み出すことができるというわけだ。

そして、理財商品や短期で値上がりが期待できる不動産などの利益の高い金融商品で運営すれば信用状の期限までの資金運用はいくらでも可能だという仕掛けである。ぶっちゃけた話、信用状の期限を3か月に設定すればその間の借入金を理財商品などで有利に運用してチャリンチャリンと儲けが入ってくる、美味い話である。

一方、金を貸した銀行側からすると、一応担保を預かっていることになるので、2%前後(米ドル)の低金利で貸し付けても不安はない。この2%前後で借りた運用資金を「年利10%程度の理財商品」で運用して、差額の8%が利益になるという単純な儲け話なのだ。

業者に言わせれば、「詐欺になる要素」の部分は、「預かり証を偽造しただけ」で、もし、公安当局の調査で捕まっても、経済犯罪としては大した罪にならないと高をくくっている。だから、同様の犯罪はいくらでも起こるわけだ。早い話が、捕まりそうになったら3か月以内に借入金を返済して、偽造した預かり証を破棄すれば手仕舞いができる、という寸法である。」

こういう輸入金融の仕組み自体は日本でもあると思いますが、そこで大きな不正が起きたということはあまり聞きません(事件にならないだけなのかもしれませんが)。ただし、日本でも、多重リースによる不正がたまに報じられているように、同じ担保物件を使って、何度も(かつ同時に)資金調達することがないわけではありません。
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