関東財務局がアブラハム・プライベートバンクに対し6カ月の業務停止命令を出したという記事。「海外ファンドの商品を実質的に無登録で販売し、金融商品取引法に違反した」とされています。
「投資助言・代理業の登録をするアブラハムは、金融商品の勧誘・販売を手掛けられないが、同社取締役が国外に設立した会社を通じ、アブラハムの顧客がファンドを購入した額に応じて海外ファンドから報酬を得て、持ち株会社のアブラハム・グループ・ホールディングスに還流。アブラハム・プライベートバンクの社員は持ち株会社からの出向のため、監視委は3社が実質的に一体となって無登録でファンド販売を手掛けていたと認定した。遅くとも2010年8月から13年5月までに、2792人の顧客が海外ファンドを取得した。
同社はウェブサイトに「金融機関や運用会社から販売手数料はもらっていない」と記載。同社より低い手数料のサービスの存在を知りながら同社の手数料を「最安値」と表示するなどしており、監視委は「著しく事実に相違したり、誤認させるような表示の広告」だとして、この点についても金商法違反と認定した。投資実績に不満を持った顧客からの依頼で2年分の報酬約900万円の免除もしており、これも顧客への追加の利益提供を禁じる金商法違反に当たると判断した。」
アブラハム・プライベートバンク株式会社に対する行政処分について(関東財務局)
顧客から預かっていた資金は海外ファンドが運用していて、資金消滅ということはなさそうですが、関東財務局からの業務改善命令では「当社が関与した全てのファンドについて、取扱い状況(顧客属性、ファンド名、投資金額及び現在の評価額)を至急把握し報告すること」という項目も含まれています。
この会社は大手監査法人の名前まで使って宣伝していましたが、その監査法人からは11日付で賞の取り消しが発表されています。
2012.10.16 テクノロジー企業成長率ランキング 第10回「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノロジー Fast50」発表(トーマツ)
「第10回「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノジーFast50」において20位にランクインしたアブラハム・グループ・ホールディングス株式会社について、本プログラムの目的に照らして不適当であると判断される事実が発覚したため、受賞を取り消しました。これに伴う他企業のランキングに変更はありません。(2013年10月11日)」
この会社のビジネスの適法性を保証していたわけではないのでしょうから、賞を与えた側に責任はないのでしょう。しかし、この会社がどこから売上を得ていたのかを調べれば、あやしいということに気が付きそうなものです。大手監査法人といえども、企業を見る目はなかったのかもしれません。(あわてたのか「授賞」が「受賞」になっています。)
別の金融商品取引業者2社も同じ日付で行政処分を受けています。アブラハムと同じような事例です。
IFA JAPAN株式会社に対する行政処分について(関東財務局)
K2Investment株式会社に対する行政処分について(同上)
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