経産省が持続化給付金事業について、検査の結果を公表したという記事。
「経済産業省は12日、新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」事業について、税金の「中抜き」批判を浴びたサービスデザイン推進協議会の支出などの妥当性を検証する「確定検査」の結果を公表した。推進協の支出や手続きは「適切」だったと結論付けた。」
12日に公表されたとのことですが、経産省や中小企業庁のウェブサイトの新着情報をみても、この報告書に関する情報はありません。隠しているのでしょうか。少なくとも、あれだけ騒がれていた問題の報告書なのに、国民に積極的に開示しようという姿勢はなさそうです。
昨年10月に中間報告があり、その時は、けっこう盛んに報じられていました。また、その際は、「調達等の在り方に関する検討会」という有識者の会議が設けられていて(委員長は準大手監査法人のトップ)、中間報告を提出して議論してもらうという形になっていましたが、その検討会は、今年1月に報告書を出して、それ以降、活動していないようです。メディアも、もっときちんとフォローすべきでしょうし、経産省は検討会をもう一度開いて、確定報告の妥当性についても、みてもらうべきでしょう。(そもそも、中間報告から10か月も経って確定版が出てくるというのも、ほとぼりが冷めるのを待っていたという感じもして、あやしい)。
東京新聞は比較的詳しく報じているようです。
最大9次下請け、564社関与 持続化給付金「中抜き」批判の電通再委託問題 経産省が検査の最終結果公表(東京新聞)
「再委託先の電通は約561億円を外注に回し、外注先の企業は560社近くに上った。国が事業を発注した昨年4月時点の経産省の規則では、外注費など費用総額の10%をかけた金額を一般管理費名目で支払うことになっていたため、電通は一般管理費58億円を計上した。
一般管理費のお金は事業者の家賃や光熱費などに充てられるが、残りは事業者の利益となる。電通は他の国の受託事業の事務局と同じビルに入居するなどして費用を圧縮したとされ、58億円の一部が利益に回る。本紙の取材に対して、電通の担当者は「一般管理費の内訳は開示していないが、全てが利益になるわけではない」と回答した。」
電通にすれば、561億円のプロジェクトで、粗利にほぼ相当する金額が58億円だったということでしょう。暴利というほどではありませんが、実際の作業は、電通の下請けがやっていて、しかも、電通にプロジェクトを管理するための特別な技術力・ノウハウがあるわけではなさそうですから、おいしい商売だったのでしょう。
「事業は電通などが設立に関与したサ協が受注した後、電通に再委託。電通は複数のグループ企業のほか、同様にサ協の設立に関与したパソナやトランスコスモスなど「身内」に外注を繰り返していた。」
「電通関係者へのこれまでの取材によると、一般社団法人を元請けにすることで予算監視の目が逃れやすくなる上、グループ企業に外注を繰り返せば1社ごとの利益は小さくともグループ全体では利益を最大化できる。電通は公式には否定しているが、関係者は「電通が中心になって考案した利益率の良いビジネスモデル」と証言していた。」
人材調達やITシステムの仕事が含まれているので、パソナやトランスコスモスが関与するのは、ある程度理解できます。
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