日本公認会計士協会は、「監査人・監査報酬問題研究会」による「2020年版 上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」を、2020年5月15日に公表しました(報告書日付は2020年 3 月 31 日)。
2018年度(2018年4 月期決算より2019年 3 月期決算に至るまでの年度)における日本の全上場企業の監査人及び監査報酬に関する有価証券報告書記載情報に基づく実態調査結果がまとめられています。
全体の傾向。
平均で見ると、2017年度 66.04百万円が、2018年度は67.27百万円に増えています。
報酬増減。
比較データがある3,603社のうち、1,671社(46%)が報酬増となっています。増加率も13.69%と高い数字です。
報酬が急増減した会社。
「個別の企業に関して、監査証明業務報酬が前年度比 50%以上減少した企業は 7 社(前年度は 6 社)であった。一方、前年度比 50%以上増加した企業は 88 社(前年度は 71 社)であった。」
監査人交代企業の分析。
「監査人が交代した企業は、2017 年度は 120 社であり、監査証明業務報酬の対前年度比増減率は平均で 12.47%の増加であるのに対し、2018 年度の交代企業は 106 社、対前年度比増減率は平均で 2.47%の増加である。また、対前年度比増減率の中央値をみると、2017 年度は変動なしであったが、2018 年度は 2.08%の増加であった。」
「増減率の中央値をみると、該当企業数が最も多かった大手からその他への交代(30 社)については-18.57%で大幅な減少となっている。続いて、大手から大手への交代(26 社)では 9.12%の増加、その他からその他への交代(21 社)では-3.03%と減少、大手から準大手への交代(19 社)では2.33%の増加となっている。昨年度では、大手から大手への交代で-2.58%と減少を示していたことに比べて、本年度の特徴として、大手からその他の監査事務所への交代において、相対的に大きな監査報酬の減少が認められるといえる。」
監査の交代事由の分析。
「2018 年度における監査人の交代(対象 104 社)において、臨時報告書において監査報酬が理由として言及された交代は、23 件であり、22.1%であった。この割合は、監査人の交代が監査報酬を理由として行われる件数が一定割合生じているということの証左であるが、最近、マスコミ等で報道されているような監査人からの監査報酬の値上げによる交代の頻発という状況は、臨時報告書における監査人の交代理由の分析から、2018 年度においては指摘できるほどではないように思われる。」
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