政府・与党が2018年度税制改正の本格的な議論に入るという記事。
「焦点の所得税は、家族構成の変化や多様な働き方に即した税制に改めるのが課題だ。会社員向けの給与所得控除、年金受給者にかかる公的年金等控除、全ての納税者に適用される基礎控除を一体で見直す方向。」
3控除といっても、給与所得控除や公的年金等控除は、給与所得や雑所得を計算する際に収入から引かれるものであるのに対し、基礎控除は最終的に所得から引かれる所得控除であり、性質がちょっと違うものですが、納税額に対する影響は似ているので、一緒に議論するのでしょう。
見直しの内容は...
「初動となる18年度は基礎控除、年金控除、給与所得控除を一体で再点検するのがポイント。」
「基礎控除の見直しは減税策だ。現在は一律38万円だが、与党は50万円程度に引き上げる案を軸に検討する。引き上げによる税負担減の恩恵は幅広い層に及ぶが、問題は公平性。現在の課税方式では高所得者ほど税負担の軽減額が大きくなる。年収2500万円を超えるような高所得者の場合は、段階的に基礎控除をゼロにする案も検討する。」
「給与所得控除は、多様な働き方を踏まえた見直しを進める。フリーランスや独立起業する若年層が増えているのに、同控除では優遇の対象外。今後の検討で基礎控除を引き上げた場合、増額分を一律引き下げる方向だ。そのうえで、現在は収入1000万円で220万円の控除上限を、800万〜900万円台で188万円程度に下げる案が浮上している。
高所得者は負担増になるが、子育て世帯の負担増は避ける。増税分の還付や、扶養控除(16〜18歳)などへの上乗せ、年少扶養控除(16歳未満)の復活などの案もあるが、対象をどの年齢に絞るかも含め制度設計を急ぐ。給与所得控除を見直せば、高所得の会社員は増税になる。これまでも増税が相次いだ層だけに強い反発も予想される。」
基礎控除は、38万円で「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができるとも思えないので、引き上げは理屈に合っています。給与所得控除は、必要経費の概算だとすれば、普通はそんなにかかるはずもなく、引き下げは仕方がないと思いますが、実際には、基礎控除や扶養控除と同じような役割があるので、単純に下げればよいということにはならないでしょう。
こちらは学者による詳しい解説(一般向け)。
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高所得層に「増税」、低所得層に「減税」が筋だ
給与所得控除と基礎控除を合わせて議論せよ(東洋経済)
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