成年被後見人に暴力をふるった東京都の司法書士が処分された事件を取り上げた記事。士業への処分を考えるための例として、紹介します。
「'16年12月8日、成年被後見人(後見される側の認知症の高齢者など)に暴力をふるった東京都の司法書士を、法務省の東京法務局が処分した。」
「T司法書士が事件を起こしたのは、成年後見人になって2年半後の'13年3月頃。処分書には、こう記されている(文中の「被処分者」とはT司法書士のこと)。
<(T氏は)前後2回にわたり、○県内の成年被後見人方付近路上等において、成年被後見人の胸ぐらを左手でつかみ、右手でその胸の辺りを叩いたり、成年被後見人の尻を右ももで蹴るなどしたものである。……(中略)……以上の事実は、当局及び東京司法書士会の調査から明らかである。被処分者は、成年被後見人が被処分者の指導に従わないことなどにいら立ち第一の行為に及んだものである>」
「...処分書もT司法書士の行為を<国民の権利の保全に資するべき責務を有する司法書士としての自覚を欠き、司法書士に対する国民の信頼を著しく損なう行為>だと批判し、司法書士法などの違反に当たると指摘している。
ではT司法書士に対しては、どのような処分がなされたのだろうか。実は、戒告処分という最も軽い処分を受けたにとどまった。司法書士の業務は停止されず、今後の成年後見人就任も禁止されてはいない。」
「処分書ではその理由として、<被処分者は、事実関係を認めて深く反省し、二度と成年被後見人等に対して暴力を行わない旨、確約している事情も認められる>としている。要するに、本人が「反省しました。二度とやりません」と言っている、ということが根拠だということなのだが、どこまで説得力があるかは疑問だ。
T司法書士のその後だが、事務所のホームページを見ると、これまで通り成年後見業務を続けているようだ。」
「今後とも司法・行政そして業界団体が、成年後見制度を現在のように推し進めていくのなら、類似の事件が繰り返されないためにも、全国の家裁や弁護士・司法書士の団体が、監督責任を果たす姿勢を積極的に発信していく必要があるのではないか。」
処分が甘いと、その士業全体の信用がなくなるおそれもありそうです。
会計士業界を考えてみると、会計士協会による処分は、ほとんどの場合、実名はおろか、処分があったことすら、対外的には公表されない仕組みになっています。
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