12月4日に開催された金融庁の「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ 」の記事要旨です。
上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方が議題となっていますが、委員からは結構厳しい意見が出た模様です。以下一部引用します。
「取締役会が株主の代表となっていない中で、会社のあり方の根本を変えるようなことが、株主が知らないところで、取締役会決議のみで行われるというのは、正常とは思えない。また、支配権を持ってしまうような割当先について、なぜ情報開示されないのか、という疑問がある。」
「公正取引の観点からは、大規模な第三者割当増資や、割当先が不透明な場合等は、当該ファイナンスに伴う様々な株価の動きによって、株価操縦、インサイダー取引、粉飾等につながるおそれがあるという問題がある。この数年、ファイナンス発表後に破綻したり、資金が本業とは関係のないところに流出したり、それが反社会的勢力とつながっていることもあるなど、あやしいファイナンスがかなり増えてきており、発行自体は違法でなくても、流通市場も含めて全体として問題である。」
「第三者割当増資に関しては、国際的な資本市場の原則である少数株主の保護について、何らかの法律上、若しくは取引所規則による規制が必要であると思う。」
「MSCBについてはイリーガルな商品だと思う。MSCBの発行によって既存株主の株式の希薄化を招くだけでなく、株価が下がることも企業は認識しているはず。また、MSCBを発行するような企業は、発行コストが高くても支払うため、発行を手伝う証券会社にもインセンティブを与えるのではないか。」
「ほとんどの問題が会社法が機能していないという根本的な問題。平成17年に会社法を制定したとき、従来の株主保護のための事前規制を180度転換し、マーケットメカニズムと経営者を信頼するという米国モデルに則って、企業が自分の裁量で何でもできるという構成に変えた。」
「従来は、会社法でガチガチに規制していたから問題が表面化しなかったが、今では、会社法の規制がゆるくなった結果、経営者も法律上可能なら何でもやるという風になってしまった。」
「会社法の規律が機能していない中では、日本の資本市場は世界から信頼されなくなってしまうだろう。」
これだけ読むと、日本の株式市場は無法地帯のように思えてきます。
規制強化にどちらかというと反対の意見は「第三者割当増資は、企業再建や技術革新を行う場合等における機動的な資金調達手段として必要な場合がある」というものだけでした。
金融庁にコーポレートガバナンスを直接的に監督する権限はないはずですが、取引所にやらせるのでしょうか。会社法を改正する方向だという報道もあります。
当サイトの関連記事
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事