金融庁の不正対応監査基準を取り上げた日経社説。
「粉飾を効果的に封じ込める監査を確立し、日本の資本市場への国際的な信頼を高めたい」という箇所は、オリンパス事件・大王製紙事件が起きた以上、ご説ごもっともというほかありませんが、「抜き打ち監査」をキーワードにしているなど、ピントが少しずれている感じはします。
(「抜き打ち監査」を説明している部分)
「改革案は監査法人に対して、決算操作の疑いが濃厚な企業を抜き打ちで監査するよう求める。粉飾リスクの判断基準として「赤字が続く」「オーナー支配が強い」といった企業類型を明記し、抜き打ち監査を発動しやすくする。
不正をはたらく企業は定期監査の日程にあわせて帳簿や在庫をとり繕い、粉飾を隠すのが通例だ。抜き打ちで実施すれば、隠蔽を難しくする効果が見込める。」
また、監査法人内の体制についてもふれています。
「制度の限界を補うには、監査人が粉飾の端緒をつかむための専門性を高め、体制を整えることが必要だ。通常の監査とは別に、粉飾の疑いがある企業を専門に担当する部門の増員を検討する大手監査法人もある。こうした取り組みの広がりが、監査の実効性を高めるうえで欠かせない。」
「粉飾の疑いがある企業を専門に担当する部門」というのが具体的に何を指すのか、よくわかりませんが、大手監査法人には不正調査を専門とする部門があることは事実です。ただし、監査先に不正の兆候がある場合に監査チームを支援するというより、(不正が実際に発覚した場合に)会社の依頼により、不正関連の詳しい調査を行ったり、不正防止策を助言することを主な業務としているのではないかと思われます。
(大手監査法人の不正調査部門の例)
不正調査・係争サポート(フォレンジック)サービス(トーマツ)
不正調査・不祥事調査・予防(KPMG)
不正調査・対策(新日本)
こういう本も出ています。
↓
企業不正の調査実務