不動産含み益「23兆円」動くか 企業のPBR対策に期待(記事冒頭のみ)
上場企業の不動産含み益が注目されているという記事。
記事の図表などをみると、賃貸不動産等の時価注記の数字のことをいっているようです(参考:「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」)。
「上場企業の保有不動産に対する投資家の関心が高まっている。資本効率改善への要請が強まるなか、含み益を抱える不動産を売却し、資金を株主還元や成長投資に回すことへの期待が背景にある。主要企業の不動産含み益は過去最高の約23兆円にのぼる。眠れる資産を有効活用し、企業価値を高める経営への転換が株価を左右する。」
実質PBRを計算した表も掲載されています。
「実質PBRは、PBRの分母の純資産に不動産などの含み益(税引き後)を足して算出する。含み益が大きいほど通常のPBRと比べて値が小さくなり、割安感は強まる。」
三菱地所は含み益が4兆6千億円もあり、PBR1.0倍が、実質PBRでは0.4倍だそうです。
株式市場でも、含み益の比率が高い会社は、株価の値上がりが大きいそうです。
「直近年度で不動産含み益の比率が高く、実質PBRが1倍を割っている約100社の7月以降の株価騰落率は中央値で2.2%高と、割安株(同0.3%高)や主要企業全体(同0.4%安)を上回る。東証のPBR改善要請を受けた自社株買いや増配が一巡し、「次の一手」として資産売却に動く企業が増えるとの見方がうかがえる。」
PBRが低い会社が、含み益を加味した実質PBRがさらに低くなれば、ますますダメな経営の会社だという評価になり、いわゆる「物言う株主」からも狙われるのでは、何のメリットもありません。
もちろん、大きな含み益があるということは、見かけよりも財政状態が健全な会社ということですから、褒められていいはずなのですが...。
記事の論調は、含み益のある不動産は、早く売却して、株主還元するか、もっと稼げる事業に資金を回すべきと言っているようです。