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金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第6回)資料(金融庁)

金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第6回)資料

5月11日開催の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」の会議資料が金融庁ウェブサイトに掲載されています。

この中の事務局説明資料によると、この回は、「会計監査に関する情報提供の充実」と「開示書類の提供の時期」を中心に議論されたようです。

前者は2016年の「会計監査の在り方に関する懇談会」提言に含まれていた項目です。KAM導入(提言項目のひとつ)の監査基準改正案公表が終わったので、次はこれをやろうということでしょうか。(資料では「会計監査に関する在り方懇談会」といっていますが、間違いでしょう。)

米国と英国の開示例をや現行の開示内容を紹介した上で、以下のような論点を示しています。(ただし、最後の項目は、監査は監査でも、監査役会等に関するものです。)

○ 財務情報の信頼性を高めるため、会計監査に関する情報を充実させる観点から、米国や英国で開示されている以下の項目を記載することについて、どのように考えるか。

・監査人の選任、再任の理由
・監査役会等による監査人監査の評価
・監査人の継続監査期間
・監査人のネットワークベースでの監査及び非監査業務に係る報酬額及び業務内容

○ 上記のほか、例えば、企業が適正な監査の確保に向けて監査人とどのような取組を行っているか、監査役会等が監査人をどのように評価しているか等、どのような会計監査に関する情報を開示することが考えられるか。

○ 有価証券報告書における総覧性の向上や、事業報告等との一体化を見据えて記載内容を共通化する観点から、会社法上開示されている以下の項目を記載することについて、どのように考えるか。

・監査人の解任、不再任の方針
・監査役会等が監査報酬額に同意した理由
・監査人の業務停止処分に係る事項

○ 英国の年次報告書に倣い、上記の会計監査に関する情報に加えて、有価証券報告書に監査役会等のより具体的な活動状況(例えば、監査役会等の開催頻度、個々の委員の出席状況、議論した主な内容等)を記載してはどうかとの意見があるが、どのように考えるか。

監査事務所の強制的ローテーションまでいかなくても、監査契約の継続年数や再任理由を書かせることによって、監査人交代を促すというねらいでしょうか。

「開示書類の提供の時期」については、以下のような論点を挙げています。やや抽象的です。

○ 企業と投資家との建設的な対話をより促進していく観点から、年度の開示書類の提供のあり方について、どのように考えるか。

○ 決算情報を含む重要情報の適時開示について、我が国の資本市場の活性化等の観点から、どのようなタイミングで公表することが望ましいか。

四半期開示について、今般の証券取引所における四半期決算短信の見直しを踏まえ、そのあり方についてどのように考えるか。

○ 投資家による企業情報の分析と、投資家と企業との対話の機会を十分に確保する観点から、決算期末における企業と投資家とのコミュニケーションのあり方について、どのように考えるか。

最初の項目の年度開示については、株主総会資料の電子提供、有価証券報告書の株主総会前提出、有価証券報告書と事業報告等との共通化・一体化、分かりやすい開示(米国のPlain Englishや英国FRC の Clear & Conciseを資料では説明しています)などについてふれています。

2番目の開示タイミングについては、公表のタイミングが「引け後」の15時以降に集中していることにふれています。


(会議資料より)

四半期開示については、四半期任意化論にもふれてはいますが、資料の記述からすると、今の制度を継続したいようです。

海外の状況を紹介した図。欧州では任意化(ドイツは法令上は任意)されています。また、海外の「アーニング・リリース」というのと日本の短信は同じものなのでしょうか。


(会議資料より)

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