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当期純利益の概念に関するペーパーの公表(企業会計基準委員会)

当期純利益の概念に関するペーパーの公表

企業会計基準委員会は、会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)(IASBへの助言組織)に昨年12月提出した「純損益/その他の包括利益及び測定」と題するアジェンダ・ペーパーを、ウェブサイト上で公表しました。原文は英語ですが、仮訳も掲載されています。

国際会計基準審議会(IASB)は、2013年7月に「財務報告に関する概念フレームワークの見直し」に関するディスカッションペーパーを公表しましたが、そこでは、当期純利益を財務諸表の構成要素として定義することはしていないそうです。今回のペーパーはIASBの「改訂概念フレームワークの開発に貢献するため」に作成、提出されたものです。企業会計基準委員会は「ASAFにおいて意見発信した内容を出発点として、財務業績を報告する上で当期純利益が果たすべき役割に関する国際的な議論に参画していく所存」だそうです。

そこで肝心の純利益の定義を提案している箇所をみてみると、包括利益の定義と対比させて、以下のように書かれています(5項より)。

「・・・ASBJ は、包括利益及び純損益を財務諸表の構成要素として次のように定義することを提案する。

(1) 包括利益とは、純資産を構成する認識された資産及び負債について企業の財政状態の報告の観点から目的適合性のある測定基礎を用いて測定したある期間における純資産の変動のうち、所有者の立場での所有者との取引から生じた変動を除いたものである。

(2) 純損益とは、純資産を構成する認識された資産及び負債について企業の財務業績の報告の観点から目的適合性のある測定基礎を用いて測定したある期間における純資産の変動のうち、所有者の立場での所有者との取引から生じた変動を除いたものである。」

さらに、純損益の特徴に関する記述を提案している箇所では以下のようになっています(18項より)。

「純損益は、ある期間における企業の事業活動に関する不可逆な成果についての包括的(all-inclusive)な測定値を表す。」

現行の日本版概念フレームワークとはちょっと違うようです。日本版の「リスクから(の)解放」という考え方はひっこめられています。しかし、言いまわしを変えただけで基本的には変わっていないのかもしれません。

討議資料「財務会計の概念フレームワーク」の公表(2006年12月)

「純利益とは、特定期間の期末までに生じた純資産の変動額(報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び前項にいうオプションの所有者との直接的な取引による部分を除く。)のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、報告主体の所有者に帰属する部分をいう。純利益は、純資産のうちもっぱら株主資本だけを増減させる。」(9項)

「包括利益のうち、(1)投資のリスクから解放されていない部分を除き、(2)過年度に計上された包括利益のうち期中に投資のリスクから解放された部分を加え、(3)少数株主損益を控除すると、純利益が求められる。」(12項)

国際財務報告の基礎概念国際財務報告の基礎概念
藤井秀樹

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