税務当局と企業の間の相互信頼関係の構築とコミュニケーションの改善が、自主的なコンプライアンスを向上させるために重要
OECD(経済協力開発機構)は、「納税意欲 II:税務当局と大企業の間の信頼構築(Tax Morale II: Building Trust between Tax Administrations and Large Businesses) 」という報告書を公表しました。上記リンクは、そのプレスリリース。
「信頼と透明性という、新しい国際課税ルールの成功を支える要素の現状について重要な理解を提供して」いるものとのことです。
ビッグ4の税務部門について厳しいこともいっています。
「この調査によると、多国籍企業は一般的に、特に期日通りの支払いなどを通じて税務当局と共同で業務を行うことを公式に誓約していると見られていますが、多国籍企業が提供する情報の透明性と信頼性については、あまり肯定的に受け止められていません。多国籍企業の行動に対する税務当局の認識には地域差が大きく、アジアやOECD諸国と比較すると、南米・カリブ諸国では総じて低く、アフリカも比較的低いことが分かります。
また、この調査には、税務に関する四大専門サービスネットワーク(デロイト、EY、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース)の行動に対する税務当局の認識も収録されています。それによると、法律に従う意思と形式的なコンプライアンスについては肯定的な認識を持っている一方で、税法の精神に従うことについてはそれほど肯定的ではないという類似のパターンが見られます。」
ビッグ4に関する原文の該当箇所。
It shows similar patterns of positive perceptions of their willingness to follow the letter of the law and formal compliance, but less positive perceptions of following the spirit of tax laws.
責任者のコメント。
「グレース・ペレス=ナバロOECD租税政策・行政センター次長は次のように述べています。「多国籍企業の税務コンプライアンスに影響を与える要因は数多くあるが、信頼性と税務当局と納税者の関係構築はその出発点として有効である。このOECD の新しい取り組みは、税務当局と企業の双方がコミュニケーションを改善し、濫用的租税回避(aggressive tax planning)を阻止し、より効果的な自発的コンプライアンスをもたらすために必要な信頼を構築する一助となる一連の行動を提唱している」」
報告書はこちら。ダウンロードではなく、オンライン閲覧であれば、登録なしで読めるようです。
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Tax Morale II
Building Trust between Tax Administrations and Large Businesses