露呈してしまった日本市場の"田舎っぺ"体質
空売りファンドのターゲットとなった伊藤忠の対応を批判した記事。
「米国の「カラ売り屋」(カラ売りファンド)グラウカス・リサーチ・グループに株をカラ売りされた伊藤忠商事の反応を見て、驚きを禁じ得なかった。
同社の鉢村剛CFOは「(グラウカスの)のレポートを読み終わった時、細かく免責事項を見ていなかったので、名誉棄損や株式操作の可能性もあると思ったが、免責事項を読むと、責任をとらないと書いてある。(グラウカスは)レポート内容に責任を持たない特殊なファンド」という趣旨の発言をしているが、日本の証券会社のものでも株のアナリスト・レポートには必ずディスクレイマー(免責事項)が付いている。
そういう土俵の上で企業は反論しなくてはならない。鉢村氏は自社のアナリスト・レポートを読んだことがないのだろうか? また法的措置の可能性に言及したり、「ポジションを持ってからレポートを出す倫理観はどうなっているのか」といった発言にも首をかしげた。
カラ売りファンドがポジションを持ってからレポートを発表するのはごく当たり前のこと。むしろ、レポートを発表して上下した相場で売買すれば、株価操作の疑いをかけられる。またレポートを発表したからといって、株価が必ず下がるわけではなく、逆に上がることもあるのである。」
米国の空売りファンドの実績として、エンロンの財務諸表のあやしさを指摘した例や、米国や香港に上場している中国企業の株の空売りで儲けた例などをあげています。
空売りファンドの意義は...
「ヘッジファンドが「我々の存在は市場の効率化に寄与している」などと主張するのは、(そういう側面が皆無ではないにしても)片腹痛いが、カラ売りファンドは市場にとって好ましい影響を与えるものである。」
「それは、彼らの存在によって、一般投資家は新たな視点を与えられ、市場の議論も活発化するからだ。日本も昔に比べると株主からのプレッシャーが厳しくなって、東芝のように粉飾決算をする会社が出てきたり、上場基準が緩和されて、怪しげな(ないしは脆弱な)会社が上場しているケースもあり、カラ売りファンドが活躍する土壌はできてきている。」
監査人も、いつ担当企業が空売りファンドの攻撃を受けても(少なくとも財務諸表に関しては)大丈夫という覚悟が必要な時代となったようです。
会社も、空売りファンドが指摘しているような会計上の重要ポイントについては、会計監査の際に、監査人に対して十分説明し、様々な関連証拠も見せているはず(したがって十分準備ができているはず)ですから、虚を突かれたようなヒステリックな対応をすると、ますますあやしいということになります。ましてや、監査人の無限定適正意見を根拠にするなどは、自らの責任を回避するようにも見え、逆効果でしょう。
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