イオンが、2016年2月期の連結決算で、計324億円の特別利益を計上するという記事。退職給付信託を使った益出しのようです。
「子会社のダイエーで退職給付信託を設定した。クスリのアオキ株などを同信託に売却し、188億円の利益を計上する。また、子会社のイオンリテールで年金資産が退職給付債務に対して積立超過になっており、退職給付信託の一部解約に伴って約136億円の特別利益を計上する。」
退職給付信託は、株式の持ち合い関係を維持したまま、年金資産を増やす(退職給付引当金を減らす)ことができるメリットがあるわけですが、持ち合いを解消しようという動きの中で、いまさらこれを使うというのは時代錯誤的です。
会計処理については、退職給付会計適用指針で、「事業主から当該資産が時価で拠出されたと同様の会計処理を行う」とされている(19項)ので、信託設定時に、株式を時価で売却したという処理になり、損益が発生します。
また、退職給付信託の一部解約は、年金資産の返還となります。「返還前の年金資産に占める返還額の割合が重要な場合には、返還時点における年金資産に係る未認識数理計算上の差異のうち、当該返還額に対応する金額については、一時の費用としない理由(会計基準第 67 項)は失われているものと考えられることから、当該差異の重要性が乏しい場合を除き、返還時に損益として認識する」(45項)ということで、ここでも、損益が発生します。
退職給付信託の設定に伴う特別利益の発生に関するお知らせ(イオン)(PDFファイル)
退職給付信託の一部解約に関するお知らせ(イオン)(PDFファイル)
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