新型コロナのワクチン接種が目詰まりを起こしているという記事。
ワクチン接種状況については、当サイトでもブルームバーグの記事や別の日経記事にもとづいて取り上げていますが、この記事では、日本国内に輸入されたワクチンの量や在庫の量を示して、目詰まり解消策などを述べています。
「新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り政策上の目詰まりが見えてきた。欧州から日本国内に届いているものの、配送や接種に至っていない在庫のワクチンの量は1000万回分を超える。接種会場の拡充や接種の担い手確保など早期の目詰まり解消が急務だ。
日本のワクチンは、米ファイザー製と近く薬事承認される米モデルナ製が欧州から届く。政府が到着を確認したのは4月25日時点で2800万回分。その後は週1000万回分届く予定で、累計5000万回分ほどが国内に入ったとみられる。
ワクチンは国内の空港に到着後、物流会社などの大型倉庫で保管され、その後市町村の特設会場や医療機関に運ばれる。ただ接種が思い通りに進まなければ保管時間が長くなる。この段階で待機する在庫が現時点で、1000万回分超あるもようだ。
政府の計画によると、医療従事者向けのワクチンは、16日までに累計960万回分を配り終える。高齢者向けは、接種を終えたものも含めて670万回分配った。23日までには1870万回分を追加で配送予定だ。
この供給量は1日あたり換算で133万回分に相当する。これまでは1日40万回分の配送ペースだったが加速する。菅義偉首相が掲げる「1日100万回接種」という目標の達成も、ワクチン供給量の面では視野に入ってくる。」
この記事の「在庫」1000万回分というのは、問題のとらえ方が根本的に間違っているのではないでしょうか。現在までのワクチン接種回数は累計で4百万回程度です(Yahooより)。「輸入量-接種回数-減耗=在庫」のはずですから、減耗は無視するとして(無視できないくらい減耗があったらそれはそれで問題です)、日本国内のワクチン在庫は、4,600万回分ということになります。日経がいっている「1000万回分」というのは、地方自治体に配送した分を差し引いた量ですから、それだけをいくら減らしても、厚労省の責任となる部分が減るだけです。日本国内全体の在庫量4,600万回分というのが、目詰まり状況を示す注目すべき量だと思います。
粉飾の手口に、押し込み販売というのがありますが、地方自治体への押し込み出荷で在庫を減らしても、無意味でしょう。むしろ、各自治体での接種状況に応じて、必要量だけ計画的に出荷する方が、ワクチンの在庫管理上も効率的でしょう。
現在、1日あたりの接種回数は30万回程度のようです。首相は百万回に増やせといっていますが、それは単なる思いつきの数字で、すぐに実現する数字ではないようです。
仮に、1日30万回接種として、それを3月初めから実施していれば、5月末時点で2700万回ぐらいになります。それだけ接種していても、累計輸入量5千万回から差し引くと、まだ2000万回分以上の在庫が残っていたことになり、供給不足は生じなかったはずです。
そのくらい接種していれば、英米には及ばないとしても、他の諸国と同じくらいの接種率となっていたはずで、感染拡大もある程度防げたことでしょう。企業や監査人も、悲観的な会計上の見積りをせずに済んだかもしれません。
(それにしても、輸入量や在庫量が概算でしかわからないというのが不思議です。政府は、ワクチンの輸入量、配送状況、現在どこにどれだけの在庫があるかなどを正確に把握していないのでしょうか。)
(Yahooより)
足りないはずの「ワクチン」が余る病院が出てきた残念な背景(FRIDAY)
「200バイアル必要なところに2箱(195バイアル×2)送ったら、余ることは、だれにでもわかる。
「だから、余った分をどうすればいいかを問い合わせているのですが何度問い合わせても、きちんとした返事が返ってこないのです」
余っているなら、不足しているところに譲ればいいと思うが、
「当初、基本型接種施設に届けられたワクチンは医療従事者以外の接種が認められず、東京都に問い合わせたところ、“4月末に向けて、医療従事者向けの予約システムを作成中なので、もう少し待って欲しい”との回答がありました。
うちの病院では、ワクチンを無駄にしてはいけないということで、余った分のワクチンのみ院外の医療従事者にも接種すること決めましたが、基本型接種施設になっているような大病院は、たいていコロナ患者を受け入れています。ワクチン接種に人を割くこともできないし、接種会場となるスペースを確保するのもむずかしい…」
結果、多くの基本型接種施設でワクチンが行き場を失っている可能性があるという。」
「ファイザー製のワクチンは、超低温冷凍庫で保存していれば6ヵ月はもつといわれるが、作られてすぐ日本に届くわけではない。
「3月上旬に届いた最初のワクチンの使用期間は6月末まで、4月下旬に届いたものも7月末までです。この期限を過ぎたものは接種できません」 」
「ワクチン接種自治体丸投げ」市長に直電の生々しい中身 悪いのは、地方自治体ではない(FRIDAY)
大規模接種の予約開始…ワクチン廃棄も?なぜ(テレビ朝日)
「使用期限までにワクチンを打ち切れるかという問題は、これから一層、深刻化するかもしれません。
世田谷区・保坂区長:「モデルナ社のワクチンも入ってくる。大変な数で打ち切れないほど入るんじゃないかと国から聞いている。そうすると、これは国レベルで考えないといけない問題。漫然と長い時間かけてやっていていいはずがない」
現時点で、余っているワクチンについて、都の担当者は「数万回分の恐れもある。全くわからないので、確認を急ぐ」としています。」
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事