会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ソフトバンクG投資先がトラブル、ワイヤーカードで2300億円不明(ブルームバーグより)

ソフトバンクG投資先がトラブル、ワイヤーカードで2300億円不明

巨額現金不明問題が起きているドイツのオンライン決済会社ワイヤーカードには、ソフトバンクグループが大きな投資を行っていたという記事。

「ソフトバンクGは2019年4月、ワイヤーカードの転換社債を約9億ユーロ(約1100億円)で取得することで合意。ただ複雑な取引を通じ、持ち分は削減された。今月にはワイヤーカードの監査役会メンバーにソフトバンクGの投資部門幹部を近く指名する公算が大きいことが明らかになった。

ソフトバンクGは最終的に、自己資金は投入しなかった。代わりに社員やアブダビ首長国の政府系ファンド、ムバダラが資金を拠出し、仕組債を使って持ち分を売却した。」

一体どういうスキームで売却したのでしょう。リスクはなくなったのでしょうか。

ソフトバンクグループに批判的なコメント。

「M&Aアドバイザリー業務を手掛けるカチタスの平井宏治社長は「そのような会社への投資を引き受けたこと自体、デューデリジェンス(資産査定)が甘い」と批判。孫正義社長は一連の失敗を「来週の株主総会できちんと説明する必要がある」と話した。」

ウィーワークといいこの会社といい、好んでガバナンスのおかしな会社に投資しているということはないのでしょうが...。

記事原文。

SoftBank Support for Wirecard Under Scrutiny After Meltdown(ブルームバーグ)

ソフトバンクGへのダメージは、財務的なものというよりは、レピュテーションへのダメージだろうといっています。ソフトバンクグループによる見せかけの支援により、ワイヤーカード社の株価は急上昇していました。

The damage for SoftBank may be more to its reputation than its finances. The Japanese company last April unveiled a complicated transaction for about $1 billion in convertible bonds for Wirecard. That ostensible support sent Wirecard’s stock surging, damaging short sellers.

最終的には、structured notes(上記日本語版では仕組み債)を使って、ソフトバンクGは持分を売却しましたが、その社債は、今回の問題発覚後、価格が急落したそうです。(ソフトバンクの目利き力を信用した投資家は大損した?)

In the end though, SoftBank never put in money itself. Instead, SoftBank employees and the sovereign wealth fund Mubadala financed the deal, and then sold their interests through structured notes. Those notes plunged 73% on Thursday to about 19.9 euro cents and have dropped a further 11.7 euro cents on Friday.

ソフトバンクグループがワイヤーカードに投資したときの記事(2019年4月)。

ソフトバンク、独ワイヤーカードの転換社債に投資へ-約1100億円(ブルームバーグ)

この時点で、不正会計問題が存在していたようです。

「ソフトバンクグループはドイツのオンライン決済サービス企業ワイヤーカードの転換社債に約9億ユーロ(約1100億円)を投資することで合意した。ソフトバンクが会計不正疑惑に揺れるワイヤーカードの少数株主となる可能性がある。」

ワイヤーカード社は仮想通貨関連のサービスも提供していたようです。

独ワイヤーカードの会計問題、仮想通貨業界のカード発行にも影響か(コインテレグラフ)

「香港拠点の仮想通貨(暗号資産)決済プロバイダーCrypto.comのデビットカードを発行している独フィンテック企業「ワイヤーカード(Wirecard)」で、虚偽の残高証明が提供されたとされ、仮想通貨への影響が懸念されている。」

「ワイヤーカードはCrypto.comのデビットカードを発行していることから、今後同社が発行したカードのサービスが中断する可能性がある。コインテレグラフはCrypto.comにコメントを求めたが、記事執筆時点では回答は得られていない。

さらに影響を受けるのはCrypto.comだけではない。ワイヤーカードは現在、WirexやTenX、CryptoPayのデビットカードも発行している。

仮想通貨企業と提携するカードプロバイダーはまだ少なく、今回のようにサービス停止の可能性が広がると決済サービスの普及にも影響してくるかもしれない。」
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