大阪府摂津市の社会福祉法人における理事長による巨額不正流用事件を取り上げた記事。理事長が個人としてやっていた事業に、法人の簿外借入金による資金を流用していたほか、個人的な経費にも充てていたようです。
「法人が調査を進めたところ、前理事長は平成16年から今年までの約12年間、法人名義で総額約11億7千万円を金融機関9行から無断で借り入れ、簿外口座で密かに管理していた。借り入れの際には、理事会の承認を得たように装った虚偽の書類を作成し、金融機関に提出する偽装工作までしていた。
法人が運営する診療所の資金約1億4千万円も簿外口座に入れていたが、前理事長が監査対象から外すよう指示していたため、今年まで発覚することはなかった。このほか、法人名義で企業や個人から借りて簿外口座に入れた約2080万円を合わせると、不正流用額は約13億4千万円に上った。」
「法人によると、金融機関からの借り入れが始まった16年ごろから、前理事長は法人の事業とは別に、個人で大阪府高槻市や大阪市、兵庫県などで老人ホームや病院など計6施設を設立。コンサルティング会社に運営を委託するなどし、それらの事業運営に約7億1千万円をつぎ込んでいた。しかし、大阪市の人工透析クリニックなどは経営が傾いて売却。残る施設も福井県の特別養護老人ホーム以外はすべて、昨年までに廃業に追い込まれた。
法人の調査に対し、前理事長は「将来的には(自分の事業を)法人の事業に加えるつもりだった」と釈明した。だが、流用先は事業だけではなかった。大阪の繁華街のバーでの飲食費や、掛け軸など古美術品の購入に約1億1千万円を充てていたことも認めた。」
父親が設立した法人を世襲したのだそうです。社会福祉法人は、誰かが株保有などの形で所有・支配しているという形態ではないのですが、実質的に同族企業だったのでしょう。
社会福祉法人に、会計士による外部監査を入れるという話もありますが、経営者の人物をよくみないとリスクが高そうです。補助金が投入されている法人なので、監査の失敗があると、社会的な批判も大きいでしょう。その一方で、非営利組織なので、監査報酬はそんなにもらえないと思われます。ボランティア精神でやるしかないのでは。
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