東京電力が、2008年3月期連結決算で過去最悪となる950億円の税引き後赤字に転落するとの予想を発表したという記事。
「柏崎刈羽原発の運転停止による08年3月期の費用増は6035億円と予想した。7月時点の予想額の2倍以上に膨らんだ。
この中には、1~7号機の復旧費1615億円を新たに盛り込んだ。ただ、今後実施する耐震補強工事費については「現時点で把握が難しい」(勝俣社長)として今期の計上は見送る。09年3月期以降に設備投資として計上する方針を明らかにした。」
新潟県中越沖地震による収支影響(PDFファイル)
地震による損益への影響をまとめた会社資料によると、復旧費用等の中間期実績(年度見込みも同額)として1615億円計上されています。これには、今後、(修理を)実施予定のものを含まれているようです。つまり、中間期では、下期以降に実施される修繕費も引当計上したということであり、保守的な処理といえます。
しかし、耐震補強工事費について設備投資(=資本的支出?)として計上するというところが気になります。耐震補強を行えば安全性が高まり社会的な意味での資産の価値は上がるといえますが、発電能力が増強されるわけでもなく、また、耐用年数が伸びるわけでもないので、企業にとっての価値が増えるといえるのか、難しいところです。ただ、電力会社は独占企業ですから、設備投資として扱扱っても、それによる減価償却費増加分を電気料金に転嫁できるのであれば、従来より多くのキャッシュ・フローが得られるわけであり、それも認められるのかもしれません。
中間決算短信(PDFファイル)
中間BSをみると、災害損失引当金が約1600億円計上され、会計方針の注記で説明がなされています。
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