会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「資産除去債務の会計処理に関する論点の整理」の公表

論点整理

企業会計基準委員会は、「資産除去債務の会計処理に関する論点の整理」を、2007年5月30日付で公表しました。

資産除却債務は、国際会計基準(正式には国際財務報告基準)とのコンバージェンス・プロジェクトの項目に上がっているため、(「背景」を読むとあまり積極的にはやりたくなさそうですが)検討対象としたようです。

「論点の整理」によれば、先行する会計基準としては、米国SFAS第143号「資産除去債務に関する会計処理」があるほか、国際会計基準では「有形固定資産」と「引当金、偶発債務及び偶発資産」の会計基準のなかで、解体や撤去の費用、敷地の原状回復費用についてふれています。

今回の「論点の整理」では、9つの論点を取り上げ、この2つの先行する会計基準を材料にして議論しています。中心は論点2「資産除却債務と対応する除却費用の会計処理」です。「引当金処理」と「資産負債の両建処理」(米国基準や国際会計基準の方法)という2つの会計処理方法を挙げていますが、どちらを採用するのかという肝心の点についてはふれていません。

企業会計基準委員会の公表するものについては、会社法の単なる後追い的な指針、リース会計基準のように影響は大きいが、考え方自体は旧基準で確立していたような基準、あるいは、企業再編関係のようにやたらと細かく理解しがたい基準・指針、が多いという印象を持っていますが、今回の資産除却債務は、固定資産の会計処理の考え方を大きく変えるものであり、また、実務上の影響も相当見込まれる重要なテーマですので、十分な議論が必要でしょう。とはいえ、コンバージェンスという流れからすると結論は決まっているのかもしれません。
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