西武ホールディングス(HD)の再上場をめぐって、同社と筆頭株主の米サーベラスの対立が激しくなっているという記事。
「西武ホールディングス(HD)の再上場をめぐる同社と筆頭株主の投資ファンド、米サーベラスとの対立が泥沼化してきた。サーベラスが、今回のTOBで西武HDへの出資比率を3分の1超にするのは、ほぼ確実。発言力はさらに強まり、西武HDは経営方針の見直しを迫られる可能性がある。」
「西武HDとサーベラスは当初、昨年12月の東証1部上場を目指して準備を進めてきた。再上場は西武HDにとって、前身の旧西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載問題で平成16年12月に上場廃止となって以来の悲願だ。」
大王製紙事件で、創業家とコーポレートガバナンスの関係がクローズアップされましたが、それはもちろん新しい話ではなく、西武などはもっとひどい例でした。
また、そもそも、西武鉄道はオリンパスのような大きな粉飾決算をやっていたわけでもないのに、上場廃止になってしまったというのも腑に落ちないところです。大株主の比率が高すぎるということであれば、ある程度の期間を与えて、改善させれば、一般株主の利益を損なうこともなかったはずです。銀行の都合で無理やり借金だらけの創業家ファミリー企業といっしょにしてしまったという点が大きな問題です。
「会社再編の過程で18年1月に1600億円の資本増強を行い、うち1千億円を引き受けたのが米サーベラス。「二人三脚で経営再建を進めてきた」と西武HDの関係者は話す。
だが、再上場に向けた準備の最終段階で、売り出し価格をめぐる思惑の差が表面化する。一部証券会社の算定では1株あたり1千~1500円なのに対し、より大きな上場益を得たいサーベラスの想定は同2千~2500円と、隔たりは大きい。」
儲け話をめぐる内輪もめにすぎないといえますが、サーベラスは不採算路線の廃止を要求しているとのことなので、地域社会がとばっちりを受けるおそれもあるようです。
米サーベラスが西武HDへのTOBを正式発表、五味・元金融庁長官らの取締役就任も提案(ロイター)
「西武ホールディングスの筆頭株主、米投資ファンドのサーベラス[CBS.UL]は11日、同社の保有株式を3分の1以上に引き上げるため、株式公開買い付け(TOB)を実施すると正式発表した。同時に、6月の株主総会で、五味広文・元金融庁長官など3人を取締役に加えるように提案した。」
15日の日経新聞に五味氏へのインタビュー記事が掲載されています。
(西武鉄道の上場廃止について)「五味氏は「自分が金融庁長官に在職中の出来事。事業再生を経て上場という最後の局面で力を貸してほしいと言われ、逃げるわけにはいかなかった」と依頼を受諾した背景を語った。」(日経3月15日朝刊)
旧・中央青山(みすず)を解散に追い込み、その後の監査業界の混乱(ひいては合格者未就職問題や大手監査法人のリストラなど)を招いたのもこのひとでは・・・。ちなみに、同氏は長官退任後、PwCの関係会社に天下りしています。
サーベラス:上場株価上げが狙いか…西武TOB(毎日)
ライオンズ球団が埼玉から消える日(ダイヤモンドオンライン)
「・・・「TOBによって影響力の強化を図るファンド」VS.「球団を保有する電鉄会社」という構図は、あの村上ファンドと阪神電鉄の対立も思い出させます。あの時はファンド側が用意した経営陣には元大手銀行の副頭取以外はそれほどのビッグネームがいませんでしたが、今回は元金融庁長官という大物が入っています。
しかし、正直、かつてともに不良債権問題に取り組んだ者としては信じられない思いがあります。本人が何と言おうが、鉄道会社という極めて公共性の高い事業を担い、かつプロ野球球団というやはり一種の公共財を保有する西武HDに対し、色々と噂のある外資系ファンドが支配権を高めるという話には、どう考えても大義はないからです。
外資のファンドの中には、雇われ経営者候補になることを承諾しただけで、数億円の着手金を振り込んでくるところもあるといいます。まさか五味氏に限って、そんなお金に魂を売るようなことはしていないと思いたいですが、とにかく晩節を汚されないことを祈ります。」
サーベラスが西武HDにTOB
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