東芝は2009年3月期の段階から粉飾をやっていた疑いがあるという記事。有償支給取引が使われていたようです。
「西田社長時代に不適切な対応が疑われているのはパソコン事業の部品取引を巡る会計処理。東芝は低価格で一括購入したパソコン部品を、購入時より高い価格でパソコンの製造委託先に販売していた。この部品取引に伴う利益計上の時期などが不適切だった疑いが浮上している。東芝関係者は部品取引について「パソコン関連で09年3月期に、それなりに大きな金額で不適切処理が行われていた疑いがある」と指摘した。
東芝は09年3月期、リーマン・ショックに端を発した世界的な金融・経済危機の影響で2000億円台の営業赤字に転落。業績を下支えするため、パソコン事業で利益の先取りをするなど不適切処理を行っていた可能性が指摘されている。」
有償支給時に発生した利益は、いわば買い戻し条件付きの販売契約によるものですから、重要性があれば、会計上消去しておかないといけないでしょう。利益を上乗せして支給する取引自体に問題があるということではないと思われます。
それにしても、仮に、有償支給で利益を出しても、その効果は、支給した部品を組み込んだ完成品が、外部に売却されるまでです。陳腐化が早いパソコンを長期に在庫することは考えにくいので、それが大きな粉飾につながるというのは、予想外です。逆にいうと、そういうことをやっていたから、製品在庫の簿価が割高となり、競争力が落ちてしまって、在庫増になってしまう(結果として粉飾金額も膨らむ)ということだったのかもしれません。
12日の日経の記事でも、「部品の有償支給」取引が不正に使われたといっています。
東芝社長辞任の公算、パソコン会計でも責任 第三者委指摘(日経)(記事冒頭のみ)
この記事によれば、昨年9月に公表されたパソコン事業のリストラ(600億円程度)の背景に、不適切会計を一括処理する狙いがあったという見方もあるそうです。
(大きな損失の裏側には、過去の不正がある?)
東芝不適切会計:根強い「利益至上主義」(毎日)
「東芝は各事業部が独立採算の社内カンパニー制度を導入している。ただ、各事業部や東芝子会社の経理担当者は、本社統括部門の監督下にあり、東芝関係者は「不適切な会計処理が全社的に行われていたことを経営中枢が知らないはずがない」と指摘する。経営幹部の期待に、現場が不適切な利益底上げで応える行為が事実上、黙認されていた可能性もある。」
利益を実際より先行計上して、その分税金を早く払うことが、本当に「利益至上主義」なのでしょうか。
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