韓国の大宇造船海洋の前社長が逮捕されたという記事。仕事を発注するに際し、不当な金品を受け取っていたという容疑があるようです。
「南前社長は在職当時、大学同窓生(逮捕済み)が所有している物流会社に仕事を発注する代価としてこの会社の株式や配当などを受け100億ウォン台の不当な利益を得たという疑惑を受けている。また、2011年に大宇造船海洋が推進した船舶博物館事業で建築家のイ・チャンハ氏(60)に工事への特恵を与える代価として金品を受け取ったという疑惑も調査対象だ。
南前社長はこの日の調査で、該当事業の発注関連手続きを説明し「個人の意志で特定の会社に特恵を与えたとみることはできない」と反論した。特別捜査団はひとまず個人不正容疑で今週中に南前社長に対し拘束令状を請求する予定だ。」
ただし、記事によると、粉飾決算についても調べているようです。
「特別捜査団は南前社長に対する司法処理手続きと同時に産業銀行にも捜査を拡大している。大宇造船海洋の株式49.7%を持っている産業銀行が大株主としての責任をしっかりと果たしていたかを糾明する計画だ。特別捜査団関係者は「産業銀行が子会社(大宇造船海洋)が利益を出したのか出さなかったのかなど、財務状況を知らないまま100%だまされたとみるのは難しい。粉飾決算を放置した過程と背景を明らかにするだろう」と伝えた。 」
CFOも先週検察当局に拘束されたそうです。「粉飾決算規模は10兆ウォンに達するとの観測も出ている」とのことで、これが本当なら、日本円にして9千億円規模の不正ということになります。
大宇造船海洋の会計帳簿は「不正帳簿」だった(1)(中央日報)
工事原価の赤字分を工事未収入金に計上していたようです。
「実際に大宇造船海洋の財務諸表はおかしな部分が多い。外見上大宇造船海洋は最優良企業に引けを取らない。3月に2013年と2014年の財務諸表を訂正するまで大宇造船海洋は8年連続黒字だった。収益性に規模(売上額)までともに成長した。
通常この程度なら現金もだぶつくのが道理だ。だが船舶や海洋プラントを作って稼いだ現金(営業活動によるキャッシュフロー)は2008年からこれまで1年も欠かさず毎年マイナスだった。簡単に言えば船舶を作って稼いだお金より、船舶を作るために使ってしまったお金がはるかに多かったと解釈できる。
8年間に稼いだお金よりも使ったお金が多いのに財務諸表が派手だったのは大宇造船海洋だけの秘策のおかげだ。
船舶・プラントを作る上で予想とは異なり追加建造費用がかかれば損失とするのが正常だ。だが大宇造船はこうした勘定の一部を「今後受け取るお金(未請求工事)」とした。このようにすると損失はひとまず売り上げと利益に化ける。「当時は損失とわからなかった」としらを切れば違法といえるかも曖昧だ。
実際にこうした方法を使ったのかは財務諸表だけではわからない。だが結果的には推定が可能だ。未請求工事代金が貯まればいつかは問題が起きる。工事損失を当座は先送りしても最小限残金を受け取る時点では損失として処理しなければならない。
大宇造船海洋は昨年1~3月期に9兆4150億ウォンまで拡大した未請求工事金額を4~6月期に3兆2276億ウォンも処理した。これが受け取るお金だったら利益は大きく膨らまなければならない。だが反対に昨年4~6月期に3兆ウォンを超える営業損失を記録した。損失だったということが証明されたのだ。 」
このほか、土地の再評価で評価益を計上していたそうです(IFRSでは認められているので、それ自体では粉飾とはいえませんが)。
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