金融庁傘下の公認会計士・監査審査会は、東陽監査法人を検査した結果、法人の運営が著しく不当と認められたとして、2007年7月5日付で、金融庁長官に対して、当該監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告しました。
審査会用語では検査結果は「不十分」と「著しく不当」に別れるようです。昨年の大手監査法人に対する検査結果は「不十分」でしたが、その後のいくつかの中堅監査法人に対する検査結果は「著しく不当」で、最終的には「改善指示」か「戒告」の処分になっているようです。
東陽監査法人の場合は「法人の運営が著しく不当」と断定されているので、大手監査法人以上の処分にはなると思いますが、審査会のプレスリリースを見る限り、具体的な監査で粉飾を見逃したという指摘はないので、たぶん大きな影響はないでしょう。
しかし、「行政当局に提出する業務報告書の作成に当たり、関係会社等の有無、大会社等の被監査会社数等を確認せず、さらに、定款に記載のない業務を提供している」といった(会計や監査の中身でない)金融庁がつっこみやすい不備を放置していたのは、やはりまずかったといわざるをえません。監査のプロが検査しているわけではないので、まずはかたちを整える必要があるのでしょう。
東陽監査法人について (平成19年3月31日現在)
東陽監査法人は、社員職員300名強、証取法監査クライアント70社以上という、大手に次ぐ規模の監査法人です。このクラスで「著しく不当」と決めつけられたということは、それ以下の規模の監査事務所に対する検査結果が心配になります。審査会がこれからも「著しく不当」を連発していけば、大手への集中がますます進むことになります。(大手が特別優れているわけではありませんが、「不十分」ですんでいるだけましだということです。)
東陽監査法人に行政処分を勧告=公認会計士・監査審査会
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