内部通報のために大王製紙を懲戒解雇された男性が解雇は無効と同社を訴えた訴訟で、男性の主張を一部認めて、解雇は無効とした判決があったという記事。
「判決によると、2013年、男性は上司に会社の不正を内部告発したことを理由に降格処分を受けた。その後、男性は関連の物流会社に出向させられたが、出向先に勤務せず大王製紙に懲戒解雇された。
判決は、同社の降格処分は「無効といえない」とする一方、経験がほぼない物流部門に出向させたのは「あまりに不相応で、出向命令権の乱用だ」と指摘。命令に従わなかったことで解雇したのは無効とした。」
この従業員が通報した内容の真偽はわかりませんが、仮に的外れなものだったとしても、会社の処分はやりすぎだったということなのでしょう。
大王製紙 元課長、解雇無効の判決 東京地裁(毎日)
「判決によると、男性は2013年1月、海外の現地法人で帳簿操作などがあったとする内部告発をした。同社は2月、告発は事実でない部分があり会社の信用を毀損(きそん)したとして、男性を降格処分とした。併せて北海道の関連会社への出向も命じたが、男性は着任を拒否し、解雇された。
判決は「内部告発は客観的資料に乏しく、会社の名誉を毀損した」と降格処分は有効とした。しかし出向については「命令権の乱用に当たる」として無効とし、解雇も理由がないと判断した。」
通報する際は、しっかりと証拠を集めないと...。
問題となった2013年当時の記事。
不適切会計告発で降格 大王製紙社員が調停申し立てへ(愛媛新聞)(2013年02月21日)
「男性は2012年9月から、東京本社経営企画部で中期計画の問題点などの洗い出しなどを担当。関係者によると、大王経営陣に海外関連会社への投融資の問題などを報告し、改善を求めたが改善されず、同年12月に子会社出向を命じられた。
また同月、金融庁などに公益通報として告発した後、同社の懲戒委員会に呼ばれ、13年2月には「機密情報を社外の第三者に漏えいした」として課長から1段階降格。別の子会社への再異動を命じられたという。」
金融庁に通告して、降格や出向という処分を受けたことになります。通報者は保護されないようです。
こちらは海外の例。HSBCのプライベートバンク部門の不正を暴いたIT関連の従業員が、スイスの裁判で5年の禁固刑の判決を受けたという記事。
↓
HSBC whistleblower gets five-year sentence(economia)
Hervé Falciani, the man who leaked documents exposing wrongdoing at HSBC’s Swiss private bank, was last week sentenced in absentia to five years in prison by a Swiss court
According to reports in the Guardian, the former IT worker was convicted by a court for the biggest information leak in banking history. Falciani had compiled a list of around 130,000 holders of secret Swiss bank accounts.
The leaked information was used by media outlets across Europe, including the Guardian, the BBC and Le Monde, to show how HSBC’s Swiss arm had turned a blind eye to tax evasion and other crimes.
証拠なしに通報しても保護されない、客観的証拠を得ようとして会社の情報を入手すれば情報漏えいで罪になるということだと、通報するのにも覚悟が必要ということでしょう。(スイスの事件は同国独特の事情もあると思いますが)
東芝の内部通報者は無事なのでしょうか。
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