5月24日の日経朝刊でも報じられていますが、金融庁が監査基準を見直すという記事。
「金融庁が、オリンパスの損失隠しなど企業会計の不正多発を受け、企業を監査する公認会計士の規範である監査基準の見直しに着手することが23日、分かった。企業の会計不正に対応した監査手続きを盛り込み、2013年度中の適用を目指す。」
この記事や日経記事によると、不正行為やその疑いを発見した場合の手続の明示、監査人交代の際の引き継ぎの充実、監査法人内の体制整備などがポイントのようです。
実務では、国際監査基準をほぼそのまま引き写した会計士協会の監査基準委員会報告書や品質管理基準委員会報告書(一部日本独自のものも含まれている)が使われており、大手監査法人であれば国際監査基準に準拠した提携事務所のマニュアルが使われています。金融庁の企業会計審議会による監査基準は、今までの歴史的経緯や会計士試験受験者向けに必要だということで残っているだけのようです。
また、不正への対応や引き継ぎの際の手続、監査事務所内の体制などは、監査基準、監査基準とは別の監査品質管理基準、会計士協会の上記報告書などに、すでに相当程度書かれているわけであり、問題があるとすれば、基準の内容ではなく、適用であると思われます。
金融庁が専門家を集めて意見を聞くのはいいと思いますが、監査基準まで直す必要があるのでしょうか。(おそらく、オリンパス・大王製紙事件に対応したという役所としての実績が必要なのでしょう。)
金融庁、不正会計防止へ監査基準 引き継ぎルールなど厳格化(日経)(記事冒頭のみ)
審議会・研究会等(金融庁)
いずれにしても、基準のどこに不備があるのかをはっきりさせるためには、今回の事件の当事者である監査法人の代表に審議会に来てもらって、それぞれの見解を聞く必要があるでしょう。もちろん、守秘義務を理由に断られるかもしれませんが、幸いなことに、新日本は自ら検証報告書を公表していますから、大丈夫でしょう。
金融庁:企業監査基準を見直しへ(毎日)
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