会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い(案)」の公表

実務対応報告公開草案第29号
「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い(案)」の公表


企業会計基準委員会は、実務対応報告公開草案第29号「債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い(案)」を、2008年11月13日付で公表しました。

11月28日までコメントを募集しています。

公開草案では以下の3つのケースの振替について議論しています。

・売買目的有価証券からその他有価証券への振替

・売買目的有価証券から満期保有目的の債券への振替

・その他有価証券から満期保有目的の債券への振替

これらのうち、満期保有目的の債券への振替については、「稀な場合」であって、満期保有目的の債券の定義及び要件を満たした場合には、振替が認められます(現行基準では振替不可)。

その他有価証券への振替については、「稀な場合」であって、「企業がもはや時価の変動により利益を得ることを目的としないことを明らかにして保有目的区分を変更した」場合には、振替が認められます(現行基準では有価証券のトレーディング取引を行わないこととした場合には、すべてを振替)。

「稀な場合」とは、想定し得なかった市場環境の著しい変化によって流動性が極端に低下したことなどから、保有する有価証券を公正な評価額である時価で売却することが困難な期間が相当程度生じているような稀な場合を指します。

(この「稀な場合」の定義は非常にわかりにくいものです。例えば、「公正な評価額である時価」という言葉がありますが、そもそも「公正な評価額ではない時価」というものが時価の定義上ありうるのでしょうか。また、銀行が公正な評価額は100円であると主観的に判断している場合で、100円では売却できないが80円であれば売却できるという場合は、これに該当するのでしょうか。また、「相当程度生じている」という言い回しも少し変です。)

いずれの振替のケースも、時価での振替になります。振替時の評価差額は、売買目的有価証券からの振替の場合は、損益に計上するのに対し、その他有価証券からの振替の場合はその他有価証券に係る評価差額として純資産の部に計上(税効果会計適用)し、満期までの期間にわたって償却原価法に準じて損益に振り替えます。

また、保有目的区分の変更に関し、追加情報として、一定の注記を行うこととされています。

以上のような振替は、本実務対応報告公表日から2010年(平成22年)3月31日までの適用となります。ただし、2008年10月1日までさかのぼって振り替えることが可能です(条件あり)。

このように適用時期に関しては、他の基準には見られない時限措置となっています。
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