関西電力3億円裏金事件の社内調査報告書を取り上げた記事。他の報道も、公表された調査報告書をもとにして、別の情報源からの情報を追加したものが多いようです。
「公表された社内調査報告書は一体どのような内容だったのか。結論から言えば、まるで関電自身が被害者であることを強調し、身内に甘いお手盛りの報告書だった。
「報告書そのものは全20ページでまとめられ、参考資料には金品を受領した八木会長らの氏名(一部匿名)、金品の項目、合計額、処分内容などが記されている。
報告書は、八木会長や岩根社長などに金品を渡していた元助役の森山栄治氏(今年3月に90歳で死去)や、関電から原発関連工事を受注し、その手数料として森山氏に約3億円を支払っていた吉田開発を中心に記載している。
驚くべきなのは、森山氏の横柄さを強調している点だ。」
調査の方法は...
「社内調査については、関電のコンプライアンス委員会の社外委員を務める3人の弁護士の指導、助言を受けて、関電のコンプライアンス部門(法務部門)が実施した。
報告書は、森山氏の“悪代官”っぷりを散々書き連ねているが、実は、ヒアリングをしたのは、森山氏の対応に当たった関電の社員らのみで、森山氏側に直接ヒアリングしていないのだ。明らかに客観性を欠いていると言わざるを得ない。」
新たな調査委員会の設置について(関西電力)(←このプレスリリースの末尾に報告書へのリンクがついています。報告書の日付は平成30年9月11日)
報告書目次より。
3億円ものカネがもともと関電の工事費やその他の経費から出ているのではないかという疑惑が当然生じるわけですが、それに関しては、ほぼ吉田建設に関する工事しか調べていない(しかも相手側には話を聞いていない)という状況で、まったく不十分です。
元助役がひどい人物だということを書いた部分の一部。
何でこんなひどい人物を子会社の顧問にし、その人物が深く関係していた会社と取引をしていたのでしょう。半身不随になった人もいるようですが、労災は適用されているのでしょうか。従業員を安全な環境で働かせる義務を果たしていないのでは。
激震…関西電力「3億円超の金品授受問題」の深層(現代ビジネス)
「関西電力は、2日、岩根茂樹社長の“逃げ”に終始した前回の記者会見を反省のうえ、八木誠会長とともに再会見、詳細に説明するとともに社内調査報告書を公開した。
驚くべき内容だった。
金品を受領していたのは20名で、現金、商品券、金貨、小判、スーツなどの形で約3億2000万円が贈られ、なかでも原子力事業本部の中枢にいた豊松秀己元副社長には1億1057万円、鈴木聡常務執行役員には1億2367万円が渡されていた。
金品の授受は森山氏の「得意な個性」によるもので、発注は「社内ルールに基づいており、問題はなかった」というのだが、とても認められるものではない。」
金品約3億円受領でも居座る関西電力トップをモノ言う株主は許さない(現代ビジネス)
監査役会も役目を果たしていなかったようです。
関電監査役は昨秋把握 金品受領、取締役会に諮らず(日経)(記事冒頭のみ)
「...同社の監査役会が2018年秋に報告を受けた社内調査結果について、おおむね妥当と結論づけ、重要案件として取締役会に諮っていなかったことが4日、関電への取材で分かった。」
2018年秋に監査役会で議論されたということは、会計監査人もこの3億円裏金事件のことを知っていたということになりますが(議事録を閲覧しているはずなので)、それでもなお、2019年3月期の内部統制監査は無限定というのは、どういう理屈付けなのでしょうか。
関電の会長は、先日、コーポレートガバナンスに関する提言を出した関経連の副会長だそうです。
関電の八木会長、関経連に経緯説明 金品受領問題で(日経)(記事冒頭のみ)
「関西電力会長を務める八木誠関西経済連合会副会長は4日、関経連の正・副会長が集まる会合に出席し、関電の役員ら20人が福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題の経緯を説明した。」
関経連会長、八木副会長の進退は第三者委報告後に先送り(産経)
関電問題 金品受領、情報提供…刑事罰は問えるのか(産経)
「株式会社の取締役らを対象に「職務に関し、不正の請託(せいたく)を受けて、財産上の利益」を収受したり、要求したりした場合に処罰する-と規定するのは、会社法の収賄罪だ。
「不正の請託」とは、不正な行為を依頼すること。例えば取締役が、具体的な工事をめぐり不正な要求を受けて、金品を受領した場合、立件の対象になり得る。
甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「不正の請託がなければ、金品の受け取りも通常のビジネスの流れであり、立件は難しい」と指摘。ただ、関電の報告書によると、関電が森山氏に工事概算額などの情報を提供していた。渡辺教授は「特定の企業が受注しやすい情報提供をしたり、発注を優先したりしたことがビジネスの良識に反することが証明できれば、不正な請託を認定できる余地は残る」と述べた。
状況によっては、会社法の特別背任罪に該当するとの見方もある。
この場合、工事代金が水増しされるなどし、関電側に実害があるということを客観的に証明することが、犯罪の成否を決める上で一つのポイントとなる。」
“菓子の下の金貨”関電社長が露呈した非常識な「リスクマネジメント」の言い分(文春オンライン)
「会社ぐるみ、組織ぐるみが疑われるが、「会社ぐるみではありません」と岩根社長は否定した。受取った2人では信ぴょう性に欠けるためか、岡田常務がとどめの発言をした。
「金貨、金品の出所がどこにあるかまったく承知しておりません」
これも独自ルールの1つになる。出資元については確認しない、探らない。岩根社長も「出資元については考えが及びつかなかった」と釈明した。八木会長は「森山氏に関係する企業の問題は全然見えていない」と、森山氏への対応と関連企業への発注の2つは別問題と、両手で上下を区切るような仕草をした。知れば違法、違法の認識があれば罪に問われることになりかねず、処分しなければならなくなる。そうすればすべてが表沙汰になる。ビジネスリスクの発生を阻止するため、違法性が疑われる事象には目を瞑るという独自ルールが用いられた。」
【関電 原発マネーの闇】(上)「社長就任祝いは金貨10枚」地元有力者の幻影におびえ(産経)
【関電原発マネーの闇】(中)貧しかった街が…原発と歩んだ立地町のジレンマ(産経)
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事大の騎士
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