北越紀州製紙の子会社における巨額横領事件の容疑者を取り上げた週刊誌の記事。
「××××容疑者(60歳)が警視庁に逮捕されたのは、6月1日のこと。製紙大手、北越紀州製紙の子会社・北越トレイディング(不動産仲介や自動車教習所の運営)に総務部長として勤めていたが、'00~'15年の15年間で、約24億7600万円ものカネを横領していた。
途方もない金額、長期にわたる常習的犯行。横領犯は罪の意識のかけらもない、さぞふてぶてしい男なのではないか—。そんな想像もできる。ところが××容疑者の素顔は、それとはむしろ真逆の、小心でいかにも冴えない雰囲気の人物だったという。」
犯人の経歴や横領の手口は...
「××容疑者は福島出身。もともと親会社である北越紀州製紙で働いていた。
ただし、出世コースからは外れていたのだろう。'99年、親会社から北越トレイディングに出向する。当初、同社の本社は東京にあり、容疑者も東京で勤務していた。
北越紀州製紙の報告書によれば、容疑者が横領を始めたのは、出向直後の'00年頃。
経理や財務を担当していた容疑者は、会社名義の小切手を振り出し、それを銀行で現金化するという手口で横領をしていた。当初は一度に300万~600万円程度を着服していたという。
小切手の振り出しには、銀行への届け出印などが必要になるが、当時の社長は非常勤。副社長も事業について詳細な内容を知らなかった。容疑者は口頭で説明するだけで、簡単に押印を受けられる状態だったとされる。
隠蔽工作は巧妙だった。小切手を振り出したままでは銀行からの借入額と帳簿の数字が合わなくなるため、架空の在庫や前払い費用を計上。その後、小切手のやり取りが財務に反映されないような工夫をしたうえ、虚偽の決算書を作成して銀行に提出していた。
横領金額が一気に膨れ上がったのは、北越トレイディングの本社が長岡市に移転し、容疑者も同市で暮らすようになった'09年以降。横領の額は一度に数千万円にまで跳ね上がった。」
将来に希望を持てないような立場だったようです。だからといって、普通は不正を犯すことはないのですが...。
「女たちに日々追い詰められていた容疑者だが、会社での立場も彼を苦しめていた。北越トレイディングの関係者が言う。
「××が働いていたオフィスは、北越トレイディングの不動産部の奥にある小さな建物。親会社に勤務していた人間にとって、そんな場所に押し込まれるのは複雑な気持ちだったと思いますよ」
親会社から子会社に出向させられ、さらに地方に転勤。そのことによる鬱屈、そして諦めのような思いも、横領に拍車をかけたのかもしれない。
容疑者にとって、会社は自分の能力を活かす場所でも、同僚とのやり取りを楽しむ場所でもなく、単なる「大金が詰まった財布」にしか見えなくなっていたのか。仕事にはまったくやる気を見せなかったという。」
簿外にしていた借入金の書類が銀行から届いて発覚したそうです。
「××容疑者は、会社に対して「解約した」と報告した口座をひそかに使い続け、横領を行っていた。容疑者がたまたま会社を休んだ日、取引がないはずのその銀行から返済予定表が届いたのだ。後日、そのことを問い質された××容疑者は、ついに長年着服を続けていたことを告白し、横領を認めたのである。」
会社の報告書へのリンクはこちらから。
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