会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

インド版エンロン事件 IT企業が10億ドル粉飾

インド版エンロン事件 IT企業が10億ドル粉飾 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

インド第4位のIT企業「サティヤム・コンピューター」が、過去数年にわたって約10億ドル(923億円)の架空の利益を計上するなど粉飾決算を行っていたという記事。

「同社は2007年度決算では売上高は21億ドルで、4億2700万ドルが利益とし、前年比で35・5%増益と発表。しかし、08年度第2四半期決算では売上高を1億ドル近く水増しし、利益も1200万ドルしかないのに、1億3600万ドルと10倍以上にかさ上げしていたという。」

「今回の事件で、インドの企業倫理や会計監査に対する不信がつのるのは避けられそうもない。1991年の経済開放政策の実施以降、インドは急成長を果たしたが、監査制度などの整備は遅れている。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、91年以前の事実上の計画経済の下で設立された企業の経営者は、政治家らとの“交渉”を優先し、「二重帳簿」などは当たり前で、経営実態を知るのはわずかだ-と指摘する。」

日本でも昭和40年代に大型倒産・粉飾事件が発生し、監査に対する不信感が高まったという歴史があります。今のインドもそうした発展途上の段階を過ぎれば、まともになっていくとみることができるのかもしれません。ただ、日本の昭和40年代と違うのは、新興国とはいっても大手会計事務所の提携事務所(この会社の場合はPWCの現地事務所のようです)が監査し、建前上は全世界的に同じ品質管理体制にしたがっていることになっているという点です。事件の影響で、ビッグ4と提携している日本の大手監査法人へのグローバル組織による管理強化がますます進む可能性があります。

Financial Scandal at Outsourcing Company Rattles a Developing Country

A huge piece of Satyam’s finances was a fantasy. Of the 53.6 billion rupees in cash and bank balances the company listed as assets at the end of its second quarter, 50.4 billion rupees ($1 billion), were nonexistent, according to Mr. Raju’s letter. Revenues for the quarter ended Sept. 30 were actually 20 percent lower than the 27 billion rupees reported, and the company’s profit for the quarter was just 10 percent of what it reported at the time.

「サティヤム社の財務の大きな部分が幻想であった。536億ルピーの現預金残高のうち504億ルピー(10億ドル)が架空だった。9月末までの四半期決算の実際の売上高は報告された売上高270億ルピーより20%低く、利益は報告された金額の10%しかなかった。」

Satyam’s auditor, PricewaterhouseCoopers, which has audited the company since its NYSE listing, said it was “examining” Mr. Raju’s statement and could not comment further.

「サティヤム社の監査人であるPricewaterhouseCoopersは、同社がニューヨーク証券取引所の上場したときから監査を行っているが、Raju氏の声明を検討しているところであり、コメントできないとしている。」

この会社は、米国の大会社の相当数から業務の委託を受けています。財務経理部門のアウトソーシング事業も行っているそうですが、委託している会社の内部統制的には問題がないのでしょうか。

Satyam serves as the back office for one-third of the Fortune 500, including some of the largest banks, manufacturers, health care and media companies in the world — handling things like computer systems and customer service for companies that include General Electric, Nestlé, Ford Motor, Cisco and the United States government.

In some cases, Satyam even acted as clients’ outsourced finance and accounting departments.
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事