会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

【IAASB】「新型コロナウイルス感染症の影響に関する監査上の留意事項」の翻訳(日本公認会計士協会)

【IAASB】監査実務に関するスタッフ文書「変化し続ける環境下での継続企業の前提の評価 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関する監査上の留意事項」の翻訳の公表について

国際監査・保証基準審議会(IAASB)から2020年4月29日に公表されたスタッフ文書「変化し続ける環境下での継続企業の前提の評価 - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関する監査上の留意事項」(Going Concern in the Current Evolving Environment―Audit Considerations for the Impact of COVID-19)の翻訳版です。

「本文書は、国際監査基準(ISA)に基づき、経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することの適切性を監査人が評価する際の主要な留意事項を強調するために作成された。」

「財務諸表の作成者、統治責任者及び財務諸表利用者が、継続企業の前提に関する監査人の責任及び継続企業の前提に関する重要な不確実性の監査報告書への影響を理解する上で、本報告書は有用となりうる。」

基本的にISA570(日本版は監査基準委員会報告書570「継続企業」)を元にして、新型コロナにより生じた状況に対応する留意点をまとめているようです。

表などを使って比較的詳しく説明している項目は...

・リスク評価手続と継続企業の前提に関する経営者の評価の検討(3ページ~)

「COVID-19の世界的流行により、サービス産業、小売業、旅行業界といった特定の産業が重大な影響を受ける可能性が高い。景気後退により、場合によっては継続企業の前提に関する不確実性が認められる可能性のある事象又は状況の数及び重大性の双方が増加することになるであろう。しかし、このことは必ずしも重要な不確実性が存在することを意味するものではなく、継続企業の前提に重要な疑義のリスクが増加するかどうかは企業の事業内容及び状況(企業が属する業界を含む)によって決まる。」

(「COVID-19の世界的流行により存在する可能性のある事象又は状況の例」(とそれらに対して監査人が検討する事項)が表になっています。)

(原文では、「継続企業の前提」の疑義ではなく、「継続企業として存続できる能力」(an entity’s ability to continue as a going concern)に関する疑義です。国際監査基準に基づく解説なので、日本基準風に意訳しない方がわかりやすいと思います。)

・(継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような)事象又は状況を識別した場合の追加的な監査手続(7ページ~)

(ISA 570(改訂)に規定されている監査手続と、監査人がフォーカスすべき事項が、表になっています。)

・監査報告書への影響(11ページ~)

「現在、多くの企業にとって当面の見通しが不透明であることを考慮すると、これまでより多くの監査済財務諸表において、継続企業の前提重要な疑義を生じさせるような事象又は状況について詳細な注記がなされる可能性が高い。」

この箇所の原文。

In the current circumstances, given the uncertainty about the immediate outlook for many entities, more audited financial statements will likely include expanded disclosures about events or conditions that may cast significant doubt on the entity’s ability to continue as a going concern.

(ここも、「継続企業の前提」の疑義ではなく、「継続企業として存続できる能力」です。)

原文はこちらから。

STAFF AUDIT PRACTICE ALERT: GOING CONCERN(IAASB)
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