本格化する改革論議、教育現場からは混乱も
学校法人(特に私立大学)のガバナンス改革についての記事。
昨年12月に、「学校法人ガバナンス改革会議報告書」(会計士協会元会長が座長)が公表され、その後、軌道修正がなされ、今年3月に「学校法人制度改革特別委員会報告書」が出ています。
「日本大学など相次ぐ私立大学の不祥事で、学校法人のガバナンス(統治)改革をめぐる議論が活発化している。ガバナンス強化策を検討してきた文部科学省の有識者委員会は2022年3月、評議員会のチェック機能強化などを柱にした報告書をまとめた。
文科省は報告書を踏まえ、私立学校法の改正案作成を進めるが「条文の詳細な検討はなお時間を要する」(末松信介文科相)と、国会への法案提出はまだ先になりそうだ。」
最初の報告書に対しては批判的です。
「東京大学大学院教育研究科の両角亜希子教授(高等教育論)は、一連の混乱の背景について「現役の学校法人関係者の意見を聞かずに議論を進め、不安や懸念を増大させた」と指摘する。
学校法人の活動の柱は教育や研究だが、一般に想像される以上に、多様な活動がある。学外の意見を聞くことも大事であり、理事会、教職員、学生らステークホルダーが相互チェックする仕組みが不可欠だ。」
2番目の報告書については...
「両角教授は「意思決定や執行、監督といった役割を固定化しすぎない体制にした点は評価できる」と語る。海外の大学では理事や学長、教員らが責任と権限を共有する「Shard Governance」(共同統治)の理念が重視されているという。」
最初の報告書は、たしかに、上場企業の欧米型ガバナンスの理想型をそのまま取り入れようとしたところもあって、無理があったのかもしれません。
5月30日の日経社説でも、私大改革を取り上げていました。
[社説]経営監視の課題残す私大改革(日経)(記事冒頭のみ)
「私立大などを運営する学校法人のガバナンス(統治)改革に向け、文部科学省が私立学校法の改正案の骨子をまとめた。
医学部の不正入試や日本大学前理事長の脱税事件など相次ぐ不祥事を受け、理事会の諮問機関だった評議員会に業務執行に関する監視権限を新たに与える。
法案には法人の解散や合併などについて理事会の決定に加え、評議員会の承認を統治の基本構造として盛り込む。併せて理事との兼職を禁じて独立性を高め、理事の解任請求権も与える。」
出生数“80万人割れ”目前…!「止まらない少子化」で危機に直面する大学経営(現代ビジネス)
「対象年齢が120万人から100万人、そして80万人へと減っていくことが確定してい厳しい事業環境の中で、私立大学が何に活路を見出し、存続していくのか。」
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