日本取引所自主規制法人は、「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」(案)を、2018年2月21日に公表しました。3月下旬を目途に正式決定とのことです。
2016年2月に「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を策定済みですが、今回のプリンシプルは「不祥事の事後対応に加え、不祥事の発生そのものを予防するための上場会社の取組みに資するため」のものです。
今回の案は、プリンシプル・ベースの指針であり、「仮に本プリンシプルの充足度が低い場合であっても、上場規則等の根拠なしに当法人が上場会社に対する不利益処分等を行うものではありません」とされています。
以下のような内容です。それぞれについて、詳しい解説(各1ページ)がなされています。
「上場会社における不祥事予防のプリンシプル(案)~企業価値の毀損を防ぐために~
上場会社は、不祥事予防の取組みに際し、その実効性を高めるため本プリンシプルを活用することが期待される。この取組みに当たっては、経営陣、とりわけ経営トップによるリーダーシップの発揮が重要である。
[原則1] 実を伴った実態把握
自社のコンプライアンスの状況を制度・実態の両面にわたり正確に把握する。明文の法令・ルールの遵守にとどまらず、取引先・顧客・従業員などステークホルダーへの誠実な対応や、広く社会規範を踏まえた業務運営の在り方にも着眼する。その際、社内慣習や業界慣行を無反省に所与のものとせず、また規範に対する社会的意識の変化にも鋭敏な感覚を持つ。
これらの実態把握の仕組みを持続的かつ自律的に機能させる。
[原則2] 使命感に裏付けられた職責の全う
経営陣は、コンプライアンスにコミットし、その旨を継続的に発信し、コンプライアンス違反を誘発させないよう事業実態に即した経営目標の設定や業務遂行を行う。
監査機関及び監督機関は、自身が担う牽制機能の重要性を常に意識し、必要十分な情報収集と客観的な分析・評価に基づき、積極的に行動する。
これらが着実に実現するよう、適切な組織設計とリソース配分に配意する。
[原則3] 双方向のコミュニケーション
現場と経営陣の間の双方向のコミュニケーションを充実させ、現場と経営陣がコンプライアンス意識を共有する。このためには、現場の声を束ねて経営陣に伝える等の役割を担う中間管理層の意識と行動が極めて重要である。
こうしたコミュニケーションの充実がコンプライアンス違反の早期発見に資する。
[原則4]不正の芽の察知と機敏な対処
コンプライアンス違反を早期に把握し、迅速に対処することで、それが重大な不祥事に発展することを未然に防止する。
早期発見と迅速な対処、それに続く業務改善まで、一連のサイクルを企業文化として定着させる。
[原則5] グループ全体を貫く経営管理
グループ全体に行きわたる実効的な経営管理を行う。管理体制の構築に当たっては、自社グループの構造や特性に即して、各グループ会社の経営上の重要性や抱えるリスクの高低等を踏まえることが重要である。
特に海外子会社や買収子会社にはその特性に応じた実効性ある経営管理が求められる。
[原則6] サプライチェーンを展望した責任感
業務委託先や仕入先・販売先などで問題が発生した場合においても、サプライチェーンにおける当事者としての役割を意識し、それに見合った責務を果たすよう努める。」
日本取引所自主規制法人、不祥事予防の行動原則策定(SankeiBiz)
日本取引所CEO「不祥事予防」指針案を策定(FNN)(音声出ます。)
日本取引所、企業不正防止で指針を発表(日経)(記事冒頭のみ)
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