日本公認会計士協会は、「品質管理レビューの概要(平成27年度)」を公表しました。
平成27年度に品質管理委員会が実施した品質管理レビューの実施結果等について、取りまとめたものです。同じ日に公表された「平成27年度品質管理委員会年次報告書」の簡略版ですが、こちらの方が図表を多用するなどしています。
少し変だなと感じた図があります。
(17ページより)
「改善勧告事項が生じた原因への対策」という項目の図ですが、「監査事務所」の次のレベルがいきなり「会員一人ひとり」となっています。しかし、監査はひとりでやるものではなく、チームでやるものですから、間に「監査チーム」があるはずです。
いくら「監査事務所」の体制が整い、「会員一人ひとり」がやる気があり優秀であっても、東芝の監査のように、チームとしては大失敗するということがあり得ます。コミュニケーションが不足していたのか、メンバーに対する管理が不十分だったか、あるいは、管理が強すぎてメンバーの自律性が発揮できなかったのか、原因はいろいろ考えられますが、この図のように、全く視野から外してしまうのはまずいように思います。
ちなみに、昨年協会が公表した「監査品質の枠組み」では、監査業務レベル、監査事務所レベル、国レベルという3つのレベルで議論しています。個人レベルというのはありません。
まさか、品質管理委員会がこれを読んでいないということはあり得ないので、あえて異なるレベル分けにしたのは、何らかの意図があるのでしょう。
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