会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」公表(日本公認会計士協会)

「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」及び「平成27年度品質管理委員会活動に関する勧告書」の公表について

日本公認会計士協会は、「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表しました。

以下のような構成です。

1.通常レビューの実施状況及び実施結果

2. 改善勧告事項の分析

3. 特別レビューの実施状況及び実施結果

4.上場会社監査事務所の登録

5.品質管理審議会からの勧告事項への対応

6.今後の行動計画

このほか関係する資料や用語解説もついています。


監査事務所にとっては、 まず「1.通常レビューの実施状況及び実施結果」が重要でしょう。


(報告書9ページ)

このグラフは、監査事務所ごとの改善勧告事項件数の前期比較ですが、全体として、指摘が多い事務所の割合が増えています。改善勧告事項の総数でみても、1,103件(前年度674件)と大幅に増えています。

「改正後の品質管理レビュー制度が適用されたことにより、前年度までは通常レビューの対象外であった会社等に係る監査業務を選定したことや監査業務に係るリスクが高いと判断した個別業務についてレビュー日数を増加するとともに、複数のレビューアーにより実施したこと等が考えられるほか、昨今の度重なる会計不祥事を受けて会計監査の信頼を確保すべく、通常レビューの実施や結論の表明に当たり、より厳しい態度で臨んだこと等」が、増えた理由と考えられるものとして挙がっています。

(東芝粉飾事件を受けて、はりきってレビューせざるを得なかった?)

報告書では、品質管理項目(監査業務と監査事務所)や重点的実施項目ごとのレビュー結果を説明しています。(監査に関わる人は目を通しておくべきでは)

レビュー結果に基づく「会長への報告」は以下のとおりです。

「当年度は、会長への報告の対象となった監査事務所は2事務所(前年度5事務所)であった。具体的な事由は、「財務諸表に重要な影響を与える棚卸資産及び売上原価の会計処理について、重要な虚偽表示を看過している重大な懸念があり、監査事務所が表明した監査意見の妥当性に重大な疑念があるため」や、「監査業務全般にわたって多数の発見事項があり、それらが監査責任者による査閲又は審査担当者による審査によって発見及び是正されておらず、監査事務所が表明した監査意見の妥当性に重大な疑念があるため」等であった。」

(どの事務所でしょう。)

措置の状況は...。

「当年度に品質管理の状況のレビューの実施結果に基づく措置の決定を受けた監査事務所は、「注意」が19事務所、「厳重注意」が1事務所、「注意」及び「厳重注意」が1事務所であり、「監査事務所が実施する監査業務の辞退勧告」はなかった。」

「特別レビュー」は、公認会計士法施行規則第25条第五号(社員の総数の過半数が、公認会計士の登録を受けた後、3年以上監査証明業務に従事している者であること。)への準拠性に関するものと、(東芝事件をきっかけとする?) 会長通牒等に対応した監査実施体制の整備状況に関するものが実施されています。

前者に関しては、「準拠性に重大な疑念が生じている2法人が確認された」そうです。後者に関しては、「改善勧告事項」はなかったものの、9監査事務所の15監査業務に対して指導を行っています。

「6. 今後の行動計画」では、「品質管理レビュー制度の強化」などについてふれています。金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言への対応も行うそうです。
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