IASBが、国際会計基準第1号「財務諸表の表示」の改正案を、3月25日に公表したという記事。開示の負荷を減らそうというIASBの取り組みの一環です。
Amendments proposed by the International Accounting Standards Board (IASB) on Tuesday are designed to play a role in the board’s effort to reduce disclosure overload.
国際会計基準第1号の改正案は、開示に関する改善計画の中の短期プロジェクトによるものです。IASBの議長によれば、開示に関する改善計画の目的は、財務報告を、単なる法令順守の文書ではなくコミュニケーションの道具とすることだそうです。
Proposed amendments to IAS 1, Presentation of Financial Statements, are the result of one of several short-term projects under the IASB’s broader Disclosure Initiative. The initiative’s purpose is to ensure that financial reports are instruments of communication and not simply compliance documents, according to IASB Chairman Hans Hoogervorst.
今回の改正案は、現行の表示・開示規定に関する問題に対応し、財務諸表作成者に判断を行使する余地を与えようとするものです。
The narrowly focused amendments proposed to IAS 1 are designed to address concerns about existing presentation and disclosure requirements and give preparers the ability to use judgment when they prepare financial statements.
公開草案の概要は以下のとおり。
The proposed amendments would:
・Clarify the materiality requirements in IAS 1 in an effort to avoid overwhelming useful information with immaterial information.
(重要な情報が重要でない情報に埋もれてしまわないように、重要性に関する規定を明確化する。)
・Clarify that specific line items in the statements of profit or loss and other comprehensive income, and the statement of financial position can be disaggregated.
(損益計算書、包括利益計算書、財政状態計算書において、特定の項目を区分表示することができることを明確化する。)
・Add requirements for how an entity should present subtotals in the statements of profit or loss and other comprehensive income, and the statement of financial position.
(小計の表示方法について規定を追加)
・Clarify that entities have flexibility in the order in which notes are presented but should consider understandability and comparability when deciding that order.
(企業には、注記の順序について柔軟性が認められているが、その決定の際には、理解可能性と比較可能性を検討しなければならないことを明確化する。)
・Remove potentially unhelpful guidance in IAS 1 for identifying a significant accounting policy.
(重要な会計方針の識別に関する指針で不適切なものを削除する。)
(注:訳は適当です。)
作成者や監査人からすると、注記や表示に関して判断の余地が拡大したとしても、それはそれで大変かもしれません。どれを省略したか、注記項目をどのような順序にするかなど、センスが問われることにもなりそうです。
日本基準の方も、見直していくのでしょうか。日本の場合は、法令で表示方法や注記について細かく決めているので、簡単ではなさそうです。
IASB publishes proposals as part of Disclosure Initiative(IASB)
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