米ゼロックスが、富士フイルムホールディングス(HD)による買収の合意を破棄すると発表したという記事。現CEOらも退任するそうです。
富士ゼロックスの不正会計問題も、合意破棄の理由に挙がっています。
「ゼロックスは、富士フHDが富士ゼロックスの監査済み財務諸表を期限までに提供しなかったことなどを理由に挙げ、富士ゼロックスと経営統合する合意を破棄すると説明。発表資料で、「この数週間、ゼロックス取締役会は富士フイルムに対し、買収案の条件改善の交渉に直ちに入るよう繰り返し求めてきた」とし、「われわれの要求にもかかわらず、富士フイルムは容認可能な期間内に要求に応じると保証しなかった」とした。
ゼロックスは、裁判所が買収計画の暫定的差し止め命令を下しており、株主が現行条件では買収計画を支持していないことに加え、合弁会社富士ゼロックスの会計問題が未解決であることを特に考慮すれば、現在の状況では富士フHDによる買収計画が完了することは当然期待できないとした。
さらに、ゼロックス「取締役会は議決権を巡る争いの間に会社が不安定化し、事業が混乱する可能性も考慮した。富士フHDとの取引が実行可能で時宜にかなったものでない以上、ゼロックス取締役会は、買収案を破棄し、アイカーン、ディーソン両氏と新たな和解合意を取り結ぶことがゼロックスと株主全員にとって最善と考える」と説明した。」
富士による買収スキームは、米ゼロックスが富士から富士ゼロックスの株式を取得し、その対価として富士に株式を発行する(その前に米ゼロックスは特別配当により純資産を減らしておく)というものですから、富士ゼロックス株式の評価が非常に重要になります。富士ゼロックス(海外子会社)の不正会計問題は、合意破棄の口実のひとつを与えたということになるのでしょう。
アナリストは、富士ゼロックスの不正会計問題は「表向きの理由」だといっていますが...。
「14日午前の富士フHDの株価は一時前週末比1.6%高の4310円。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、ゼロックスの成長性が見通しづらくなっていたことから、市場は買収に関してもともと「そこまで好感していたわけではない」とし、合意の破棄は「ネガティブではない」と指摘した。また、ゼロックスが合意破棄の理由として財務諸表を期限までに提出できなかったためとしていることについては「表向きの理由と捉えたほうがいい」との見解を示した。」
米ゼロックスが富士フイルムとの統合合意撤回、アイカーン氏らと和解(ロイター)
「富士フイルムとの合意撤回の理由については、富士フイルムが4月15日の期限までに富士ゼロックスの監査済み財務情報を提供しなかったことが一因だとした。富士ゼロックスの財務情報に関しては、過去に提供された未監査財務情報と監査後の内容に「著しいずれ」が見られたとも指摘した。」
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