銀行に対する東京電力の債務が、優先弁済を受けられる社債にこっそり置き換わっているというコラム記事。
「・・・電気事業法37条によって、電力債は被災者や銀行などの債権に優先して弁済されることになっている。確かに理不尽な制度だが、それを問題視する銀行や経産省の言葉を真に受けてはいけない。
実は、銀行は東電・経産省と組んで、極秘裏に銀行の債権だけを少しずつ優先的に守られる電力債に置き換えている。普通の電力債は公募発行なので多くの情報が開示されるが、今回は私募債を使うことでその仕組みを隠した。この暴挙を検査院が暴いてくれたのだ。
検査院の報告書によれば、'13年3月末までに7264億円、さらに、エコノミスト誌によれば6月末までに8000億円近くがこの私募債に置き換えられている。さらに、年末にかけて行われる債権の借り換えで、'11年3月の福島の事故以前からあった民間金融機関の債権の大部分は電力債に換わって、優先的に守られることになる。
日本政策投資銀行の債権('13年3月末で約6100億円)も別の法律で社債と同様に優先される。メガバンクが'11年3月末に実施した緊急融資約2兆円の債権も今後おそらく、密かに社債に置き換わるだろう。
その結果、被災者の債権や国が立て替えた債権だけが一般債権として残る。銀行は、被災者切捨てで破綻処理に備えているのだ。」
東電は実質的に大きな債務超過状態にあるので、銀行としてはそれに備えているだけなのでしょうか、だからといって、国を含む一般債権者の利益が損なわれてもいいのでしょうか。
このコラム記事に書かれているとおりだとしたら、反社への融資以上に反社会的な取引といえるかもしれません。
東電の有報などにおける債務(社債・借入金)に関する開示が、一般債権者にとって有用なものであるのかという点からも注目される話です。
このコラム記事は元官僚によるものですが、現役官僚も本を出しているようです。
原発めぐり「現役官僚」が告発本 官庁では犯人捜しも(朝日)
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