エネチェンジ、追われたCEOが残した傷 会計問題で迷走(記事冒頭のみ)
あずさが抱いた疑念、エネチェンジ追い込んだ100人監査(同上)(紙版(11月1日朝刊)では電子版の2つの記事が1つの長い記事にまとまっているようです。以下は、紙版によります。)
「迷走エネチェンジ」と題して、すでにいろいろ報道されているエネチェンジ社のCEO(創業者)辞任や不正会計問題(あずさ監査法人が監査人だった)を解説した記事。
「電気自動車(EV)充電インフラの一翼を担うENECHANGE(エネチェンジ)。3月に発覚した会計処理問題で上場廃止寸前まで追い込まれ、創業トップは去った。新しい経営陣のもとで再スタートを切ったが、傷はなお癒やされていない。脱炭素の波に乗る新興企業として期待されながら迷走した過程を追った。」
前半は、主に、創業者であるCEOの辞任(取締役会からも追放)の経緯を取り上げています。CEOが保有するエネ社株のライバル企業への売却話がきっかけだったようです。
後半は、会計問題です。
「ENECHANGE(エネチェンジ)を担当するあずさ監査法人はエネ社経営陣の「不正」を疑い、外部調査委員会の設置を求めるなど追及を徹底した。結果としてエネ社の関連費用は膨れ上がり、連結売上高40億円ほどの会社を追い込んだ。」
問題となったのは、EV充電設備事業の特別目的会社(SPC)スキーム(SPCへの充電器販売を売上計上する)でした。
あずさは、SPC出資者へのCEO個人からの貸し付けがあるとの通報を受け、このスキームに疑念を抱きました。さらに、SPC出資者に対し、持分の買い取りを約束していたことも発覚します。結局、SPCを連結対象とすることに決着し(会社側も一応それを受け入れている)、最終赤字は49億円にもなりました(債務超過転落)。
記事では、あずさの動きやあずさの要請によるとされる外部調査委員会について取り上げています。
外部調査委員会は4人の委員と21人の調査補助人で構成され、約3ヶ月間かけ調査を実施しました。あずさも、100人の公認会計士を送り込み、監査報酬(2023年12月期)は10倍の3億円強に膨れあがり、会社が両者に支払った費用は、計9億円を超えています。
調査委の結論は、CEOが意図的に監査法人への説明と実態を乖離させたり、隠ぺいしたりしたとは認定できないというものでしたが、あずさは納得せず、重要な虚偽表示の原因となる経営者不正があったと主張したとのことです。
おなじみの八田教授もコメントしており、調査は、「企業規模と比べ過大ともいえる」、独立した社外取締役や監査役らの調査で十分対応できたはずだと指摘しているそうです。あずさの監査については「誠実性に疑義のある経営トップが関与する不正の可能性がある以上、徹底的に調べ、膿を出し切りたかったのだろう」と理解を示しています。ただし「あずさは長年エネ社を担当しており、過去の監査が十分だったのか疑念は残るという」。
外部からみると、会社の姿勢はひどいとは思いますが、追及する側もやり過ぎ感はあります。会計処理に関しては早い段階で決着がついていたわけですから、ほかにも虚偽表示がないかどうか、通常より費用と手間をかけて監査手続を行う必要はあるにしても(したがって報酬が何倍にもなるのはしかたがない)、しょせん会社が依頼するものである外部委員会に頼る必要はなかったようにも思われます。もちろん、実態はわからないので、感想に過ぎませんが...。
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