「Tether(テザー)」という仮想通貨に関する疑惑を取り上げた記事。
テザーの特徴は...
「ビットコインをはじめとする多数の暗号通貨とは異なり、Tetherはいわゆるステーブルコイン(価値が変動しないよう設計された通貨)だ。大半の暗号通貨が激しい価値変動の影響を受けやすい一方で、Tetherは米ドルの価格に連動していることを謳っている。ビットコインとドルの取り引きを銀行で行うことは厄介で費用もかかりがちだが、Tetherはシンプルかつ低コストで、スピーディだ。
ところがこの数週間、懐疑論者たちがTetherのほぼすべての側面に一斉に疑問を投げかけている。その疑惑とは、流通するTetherの総額が、運営会社(通貨と同名のテザー)が保有する米ドルの総額と本当に合致するのか──という点だ。」
会計事務所から監査を断られたようです。
「Twitterや掲示板のReddit、ブログ、そして先日開催されたビットコインカンファレンスなどでは、外部監査を通じて米ドルの準備高をテザーが証明するよう求める声が噴出していた。テザーはその要求に応じていないうえ、同社の監査に向けて準備していた監査法人フリードマンLLPとの関係を打ち切ったという噂を公式に認めた。
『ブルームバーグ』は1月30日(米国時間)、米商品先物取引委員会がテザーに召喚状を送付したと報じている。同社の広報担当は「当社は定期的に捜査当局の法的審査を受けており、監督機関も調査を行っています。このような要望に対して一切コメントしないのは当社のポリシーです」としており、そのほかのコメントを控えている。」
ビットフィネックスという取引所と関係が深いようです。
「問題の兆しが見えてきたのは昨春のことである。台湾銀行とウェルズ・ファーゴという大手2行が、Tetherの取り引きから手を引くことを明らかにしたのだ。
さらにこの2つの銀行は、取引所のビットフィネックスとの取り引きも中止することを明らかにした。というのも、ビットフィネックスとテザーは、どちらも最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)、最高戦略責任者(CSO)、最高コンプライアンス責任者(CCO)、そして法律顧問といった経営トップが同じだったからだ。
それでもテザーは、裏づけとなる米ドルの確保についてまったく言及していない。それどころか、新しいTetherを発行し、それをビットフィネックスの口座に預け続けている。」
その価値がドルとリンクしているといってカネを集めているのに、集めたカネは関係の深い取引所に預けられ、別の仮想通貨を買うのに使われているのではないかという疑惑があるようです。
監査論でもたまに出てくる「ベンフォードの法則」も登場しています。
「先週、Tetherの新規発行に関する統計分析が匿名で公開され、暗号通貨の業界で広まり始めた。このレポートは、ここ1年で新しいTetherが発行された時期が、ビットコインの急落と緊密に連動していることを示唆している。これまでも指摘されてきたことだが、それを裏づける重要な数字も出てきた。
このレポートでは、さらにTetherの新規発行後の取り引きを無作為に抽出し、これらが「ベンフォードの法則」に反していると結論づけた。この法則は、あらゆる数値は1から始まる確率が最も高く、それが2から9へと増えるに従って、最初に現れる確率が減少していくという統計的原理だ。
ところが、Tetherのトランザクションは異なる分布を見せていた。レポートの言葉を借りると、「何らかの『人為的』な市場操作手法」の存在が示唆されるのだという。このレポートの匿名の著者は、1000xグループ(暗号通貨市場において最高品質の情報を見つけることを専門とする新しい民間コミュニティー)の資金援助を受けた「機械学習/統計担当の元グーグル社員」とされている。」
記事中で参照している報道。
↓
U.S. Regulators Subpoena Crypto Exchange Bitfinex, Tether(ブルームバーグ)(音声出ます。)
Tether Confirms Its Relationship With Auditor Has 'Dissolved'(コインデスク)
フリードマンによる報告書。経営者のために実施されたものであり、他の関係者はこれに依拠してはならないということを断っています。合意された手続みたいなものでしょうか。
↓
https://tether.to/wp-content/uploads/2017/09/Final-Tether-Consulting-Report-9-15-17_Redacted.pdf
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