東芝の関連会社「東芝エルイートレーディング」の幹部が、取引先のパソコンメーカーなどに、大量にパソコンを発注してだまし取っていたという記事。
「00年12月~02年8月の間、計4社からパソコン約3万台(約60億円相当)をだまし取ったうえ、都内の買い取り業者に横流し」していたとのことです。
「取引先に支払うパソコンの代金は、新たにパソコンをだまし取って売却した資金をあてる自転車操業を繰り返していたが、02年8月になって、未払い金が約10億6000万円に膨れ上がり、資金繰りが付かなくなった」とのことで、この未払額10億6000万円が実際の損失になったようです。
ちなみに、記事では「関連会社」とされていますが、サイトを調べてみると、現時点では、東芝100%=>東芝コンシューママーケティング100%=>東芝エルイートレーディング、という所有関係となっており、東芝の孫会社に当たります。
それにしても、内部統制セミナーの教材に格好な事件です。
まず、(売値なのか仕入れ値なのかは判然としませんが)延べ60億円分の不正な発注をどうやって行うことができたのでしょうか。別の記事によれば、犯人は発注伝票の処理などをほぼ1人で担当していたため社内では発覚しなかったそうです。そうすると、会社の発注のシステムに載せて不正な発注を行っていたが、仕入の計上のタイミングを遅らせたということなのかもしれません。
また、「商品を会社には納入させず、宅配便会社の支店あてに届けさせたうえ、直接、買い取り業者に持ち込」んでいたため、モノの動きが把握できない状況だったのでしょう。帳簿上は、仕入先から売上先へ直送したということにしておけば、つじつまが合います。
また、記事によれば、仕入値の85~90%で現金化していたそうですから、50億円以上のキャッシュの流れがあったはずです。それが完全に簿外になっていたとは考えにくいのですが、おそらく架空の売上先からの入金と、タイミングを遅らせて計上させた仕入債務の支払というかたちで流れていたのでしょう。
仕入先から売上先へ商品を直送する取引では、仕入と売上の計上が同時です。仕入を遅らせれば、売掛金の計上も遅れ、入金すべきカネが入金しなくてもわかりません。やはり、仕入の網羅性(その前段階として発注が網羅的に記録されているか)が、重要なポイントのひとつといえそうです。
PC大量詐取の疑い、東芝関連元社員逮捕 計3万台か
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