会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

偽計取引:課徴金40億円 証取委、金融庁に納付命令勧告(毎日より)

偽計取引:課徴金40億円 証取委、金融庁に納付命令勧告

「アジア・パートナーシップ・ファンド(APF)」という投資ファンドのグループの実質的な代表に対し、課徴金約40億円の納付を命じるよう、証券取引等監視委員会が金融庁への勧告を行ったという記事。「偽計取引」を行っていたとのことです。

「監視委などによると、APFグループのジャスダック上場会社「ウェッジホールディングス」は2010年3月、同じグループのタイのホテル保有会社が発行する転換社債を8億円で購入すると公表。1万2000円前後だったウ社の株価は直後に急騰し、一時4万円近くになった。しかし監視委は、資金が複数のグループ関連会社を循環し、ホテル保有会社から短期間で流出していたことから、架空取引だと認定した。」

「男性の弁護士は「社債の引き受けは実態を伴うもので、監視委が事実をねじ曲げている」などと主張している。」

形式的には弁護士の言うように、タイの会社の社債に投資したということなのかもしれませんが、8億円の価値が当初からある社債だったのかが問題となっているようです。それだけの価値がないとわかっていた有価証券に8億円支出していたとしたら、ウェッジ社側のガバナンスや会計処理の問題にもなります。

監視委のプレスリリースはこちら

ウェッジホールディングス株式に係る偽計に対する課徴金納付命令の勧告について

「ウェッジホールディングスがホスピタリティ発行の仕組債兼転換社債を引き受けるに当たり、同社は、タイ民商法上転換社債の発行を禁じられた会社形態であり、タイ証券取引委員会からその発行の許可を受けることができず、かつ、その払込みは、払込金額8億円に満たない資金をAPFグループ内において循環させるなどして仮装するものであることから、・・・上記社債に8億円の資産価値など認められない・・・」


(画像をクリックすると拡大)

2013年11月1日証券取引等監視委員会勧告について、当社代表取締役社長此下竜矢が解説申し上げます(ウェッジホールディングス)

ユーチューブで社長が説明しています。不正がなかったことを証明するといっています。問題のタイの会社は、株式の取得により持分法適用会社となり、利益も上がっていると主張しています。

過去最高40億円の課徴金を勧告 監視委(朝日)

直接の関係はないのかもしれませんが、ネットで調べていると、こういうサイトが出てきました。

金融庁企業開示課と公認会計士協会へ要請(昭和ゴム労働組合)

監査法人の名前もいくつか示されています。

11月29日 東京都労働委員会の救済命令が下る(同上)

「今回の命令には承服しがたい点が多く存在する。それは、27億円の流出問題と会社分割問題に関する不誠実団交に対する判断に象徴される。都労働委員会は、マネーファンドであるAPFグループによる東証2部上場企業である昭和ゴムの乗っ取りと資金流出が今回の不当労働行為の本質であることについて、判断を回避したのである。」
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