金融庁の証券取引等監視委員会は、令和2年度版の「開示検査事例集」を、2020年8月7日に公表しました。
「今般公表しました令和2年度版の「開示検査事例集」では、新たに、令和元年7月から本年6月までの間に開示検査を終了し、開示規制違反について課徴金納付命令勧告を行った事例、課徴金納付命令勧告は行わなかったものの、開示規制違反の背景・原因について会社と共有した上で、適正な情報開示に向けた体制の整備等を促した事例等について、その概要をご紹介しています。また、大幅に増設した「監視委コラム」では、開示実務において参考にしていただけるよう、最近の開示検査を通じてクローズアップされた開示制度や会計基準のほか、不正会計の実態等について解説しています。」
全部で200ページほどの資料です。
「最新の課徴金納付命令勧告事例」として、9件紹介しています。
「貸倒引当金の過少計上」(事例1~2)、「売上の前倒し計上等」(事例3~6)、「関連当事者取引に係る注記の不記載」(事例7)、「非財務情報の虚偽記載」(事例8~9)です。
事例9が、日産ゴーン事件のようです。
「「報酬等」については、「報酬、賞与その他のその職務執行の対価としてその会社から受ける財産上の利益であって、最近事業年度に係るもの及び最近事業年度において受け、又は受ける見込みの額が明らかになったもの」と定められており、実際に支払われたものであるか否かは無関係に、職務執行の対価として認められるものは、報酬等として記載しなければなりません。」
「当社は、連結報酬等の総額が1億円以上である役員ごとの報酬等の開示が義務付けられた平成 22 年3月期以降、A氏の金銭報酬について、記載する金額を半分程度に抑えることとし、真実の報酬額のうち、同人に支払済みの金額を記載する一方で、その残余の額を役員報酬とは別名目で支払うこととしました(当該残余の額を、「繰延報酬」といいます。)。その結果、当社は、平成 27年3月期から平成 30 年3月期までの間、当該繰延報酬の額の開示を行いませんでした。」
この「繰延報酬」については、まだ支払われていないし、また、支払うことが正式に機関決定されてもいないのに、記載する必要があるのかという根本的な疑問が残されたままです。新型コロナの影響などで、日産は大赤字となっているので、もしゴーン氏が役員を続けていたとしても、「繰延報酬」を受け取る可能性は著しく低かったでしょう。
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