法制審議会の民法部会が、約300の検討項目を示した民法改正の中間試案を取りまとめたという記事。
「明治時代の制定以来、約120年ぶりの大改正」とのことですが、120年ももったということは、よくできた法律なのでしょう。それとも、法律をあてにしないでやってきたということでしょうか。
「試案では、規定がなかった約款に関する定義とルールを新設。インターネットなどで契約する際、画面に表示される長文の約款を細部まで読まずに合意する利用者も多いため「利用者に過大な不利益となる内容は認めない(無効)」とした。」
(会計士に直接の影響はなさそうです。監査契約書の約款ぐらいでしょう。)
そのほか、保証、法定利率、債権の消滅時効、債権譲渡など、多数の論点が示されているそうです。
素人なりにネットで調べてみると、法定利率については、裁判で、将来の逸失利益を割り引いて今支払う損害賠償金を計算する際に使われているようです。法定利率を下げるということになると、賠償金の金額は増えるということになります。例えば、10年後の100万円を5%で割り引いた現在価値は61万円、3%で割り引いた現在価値は74万円であり、2割程度増加します。被害者の将来の収入減を対象とした損害賠償金を負債に計上している企業は、見積りをやり直さなければならないのかもしれません。もちろん、実勢に近い利率で賠償金を計算しているのであれば、影響はないということになります。
民法改正:国民理解どう深めるかが課題 法制審中間試案(毎日)
「上智大法学部の加藤雅信教授は「契約分野では顕著な問題が生じているとは言えず、今、改正する必要性は乏しい。改正議論は、EU(欧州連合)の取引ルールを統合するために進んでいる欧州での法改正の動きを日本が無意味にまねている側面が強い」と話している。」
IFRSみたいだという人もいることでしょう。
「約款」のルール新設=ネット売買などで消費者保護-法制審部会が民法改正試案(時事)
契約ルール、120年ぶり全面改正へ 個人保証制度など(朝日)
法制審 民法大改正へ中間試案(NHK)
契約ルール、中小に配慮 民法改正中間試案(日経)
法制審議会 - 民法(債権関係)部会(法務省)←26日の資料等はまだ掲載されていません(26日現在)。
民法改正試案 危機回避でホッとする金融機関(夕刊フジ)
「・・・債権関係を規定する民法の改正とあって、融資を専業とする金融機関の注目度は極めて高い。
関係者が胸をなで下ろしているのが「連帯保証、個人保証の見直し」に関わる部分だ。中間試案では「連帯保証人制度は、経営者などを除き廃止の方向で検討する」にとどまる公算が大きい。」
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