政府が、消費税増税時のセールの表示について統一見解を示したという記事。
「統一見解は消費者庁、公正取引委員会、総務省、財務省、経済産業省の連名。8日の衆院経済産業委員会の理事懇談会で提示された。禁止される広告・宣伝の表示は「消費税は転嫁しません」「消費税率上昇分値引きします」などで、「消費税」の文言が含まれるケースとした。
一方、表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかでなければ禁止される表示には該当しない。具体例として、たまたま消費税率の引き上げ幅と一致するだけの「3%値下げ」や、消費税との関連がはっきりしない「春の生活応援セール」を挙げた。国会では増税分を円滑に価格に転嫁することを促す消費税転嫁法案が審議されている。」
そもそも、税込表示を強制する現行制度自体が、消費税の転嫁よりも消費者に消費税を意識させないことを優先したものです。セールのときの宣伝文句にこだわってもしょうがないような気もします。大手小売業が交渉力に任せて仕入先をたたくのは、増税時でなくてもやっていることでしょう。
少し前(総額表示強制前)の一般向け解説書でも以下のように書かれています。
「財務省も消費税導入当初は業者が消費税を転嫁しやすいように外税方式を認めてきたが、近年はこの外税方式を総額表示方式(内税方式)に切り替えようとしてきた。理由は明確である。外税方式だとわずか五%の負担でも消費者には痛みを与え、消費税率を引き上げにくくするからである。内税方式に切り替えれば四〇%以上の負担でも消費者は税負担を自覚しなくなり、引き上げについても関心が薄くなるからである。」(三木義一著「日本の税金」2003年発行)
財務省は、消費税がビールの価格に含まれる酒税のようになれば、引き上げの都度騒ぎにならなくていいと考えているのでしょう。今回は思惑どおりにはいかなかったようにもみえますが、税率引き上げから時間がたてば、消費者にも慣れが生じて消費税を意識しなくなるのかもしれません。
「消費税」なければ容認 政府、セール表示で見解(産経)
「見解は禁止事例として「消費税は転嫁しません」や「消費税率上昇分値引きします」「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」を具体的に列挙。」
これも転嫁のしやすさを狙った策でしょうか。
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1円単位の運賃、今夏にも申請 JR東、IC利用時に(朝日)
「消費税は転嫁しません」まで禁止する価格表示規制は民の創意工夫を抑制する(ダイヤモンドオンライン)
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