8月25日に開催された企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の模様を伝える記事。
各委員の発言が比較的詳しく紹介されています。
IFRS反対派の意見はよく報道されているので、ここでは、会計士である委員の発言部分をいくつか紹介します。
まず、会計士協会会長の山崎氏。
「日本公認会計士協会会長の山崎彰三氏は「コンバージェンスなどが進む中、日本基準を守るというのはどういう意味か」と疑問を投げかけた。
「その場合の日本基準とは、どの状態を指すのか。コンバージェンスを全くしていない状態まで戻ることか。実現主義や発生主義、保守主義といった日本基準の特徴と言われているものは米国会計基準の輸入との見方もある。個人的には取得原価主義はバブル経済の原因だったと思っている」と山崎氏は指摘。「IFRSは完全な基準でないかもしれないが、IFRSの策定に対して意見を言えるという状態が大切だ。日本の国益と言うが、日本の資本市場を守ることも重要な国益」と語った。」
古参委員である小宮山氏。
「公認会計士の小宮山賢氏はコンバージェンスについて、「このままの議論では、(連結財務諸表の適用などを議論した)1998年まで戻ってしまいそうだ」との危惧を示した。小宮山氏は、IFRSについて「時価評価や研究開発費、のれんなどを、ことさら大きく取り上げることが妥当かどうかを検討すべき」と指摘した。」
公認会計士協会元会長の藤沼氏。
「IFRS財団の副議長を務める藤沼亜起氏は「国際的に競争は厳しい。東京にサテライトオフィスを設置することは決まったが、オフィスが機能しなければ意味がない。サテライトオフィスを誘致したかった中国は、新興国を中心とした会議を作った。アジア・オセアニアの声を集めて、サテライトオフィスを骨抜きにもできる。韓国はIASBやIFRS財団などの機構に日本人の席が多いことを指摘している。国際的にこういう状況であることを知ってほしい」と訴えた。」
会議全体の様子について、記事では以下のように述べています。
「委員の立場によって様々な意見が登場し、審議会ではまったく議論がかみ合わない場面や、委員同士で意思疎通ができない場面が繰り返された。前回も同様の様子だったうえ、企業会計審議会会長を務める専修大学教授の安藤英義氏が「フリーディスカッション」の方針を打ち出したことから、約2時間の審議会は次回の方向性も見出せない状態だった。
こうした状況に対し、「そもそも企業会計審議会は何を議論すべき会議なのか」という意見が複数の委員から出た。藤沼氏が「企業会計審議会は金融資本市場だけでなく、中小企業などすべての企業の会計について議論しなければいけないのか」と疑問を投げかけた。これに対し、安藤企業会計審議会会長は「過去の経緯などを考慮すると、企業会計審議会の守備範囲は広い」との見解を示した。金融庁の金融商品取引法だけでなく、会社法なども含めた会計制度全般を扱えるとの意見だ。」
審議会会長にはもっとリーダーシップを発揮してほしいと感じますが、金融庁の方針がはっきりしていないので無理なのでしょう。
ダメな会議の見本みたいな状態になっていますが、反IFRSの立場からすると、何の結論も出ないことで目標が達成できるので、このまま進んでいくのかもしれません。
少なくとも、米国でIFRSに関する方針が決まらない限り、議論してもむだのような気がしてきました。
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