破たんした元血液検査ベンチャー「セラノス」の創業者が投資家をだました罪で有罪評決を受けたという記事。
「有罪となったのは投資家への詐欺の共謀1件、特定の投資家に関する通信詐欺3件。被告は最大20年の禁錮刑と25万ドル(約2900万円)の罰金を科され、各罪の賠償を求められる可能性がある。」
「本件はシリコンバレーの起業家に対する詐欺罪での刑事裁判というまれなケースとなった。陪審団はホームズ被告がベンチャー立ち上げ時に過ちを犯した誠実な創業者か、または自身や会社の成功のために投資家や患者を意図的にだました人物なのか、判断を迫られた。」
「数滴の血液からさまざまな体の状態が正確かつ確実にわかる技術を開発した」と宣伝し、巨額の資金を集めましたが...
「15年に米紙ウォールストリート・ジャーナルが、セラノス独自の血液検査装置を使って検査が行われたのは一部のみで、その正確性には疑問があると報道。同社が第三者の血液検査企業が作った装置に依拠していたとも指摘すると、成功のドミノは崩れ始めた。」
米国では、メジャーな報道機関でも、企業不正事件をスクープすることがあるようです。(日経では考えられない?)
米血液検査ベンチャー詐欺、創業者の女に有罪 最高で禁錮80年も(ロイター)(動画)
元セレブCEOに有罪評決、血液検査スタートアップ巡る詐欺で(ブルームバーグ)
「シリコンバレー史上最大の詐欺」はなぜ起きたか
セラノス元CEOホームズ有罪判決が意味する事(東洋経済)(The New York Times配信)
「シリコンバレーが、努力の美徳と一攫千金というアメリカ的な考え方の漫画バージョンとすると、ホームズはシリコンバレーを極端な形で象徴していたと言える。」
「規制当局、投資家、記者など、誰かがセラノスの装置の機能を少しでも正確に知りたがると、同社は「企業秘密」と訴えた。もちろん、本当の秘密は、セラノスの装置は機能などしておらず、企業秘密など持っていない、ということだった。だが、ホームズのその答えは長い間有効だったのだ。」
「ホームズは、セラノスの装置は「製造段階」にあると述べた。さらに、「今年の半ばから後半にかけて、製薬会社のパートナーにリリースしたい」と付け加えた。13年後、同社が解散するまで装置がリリースされることはなかった。」
「今は「何でも信じたくなる」時代なのかもしれない。セラノスの取締役ウィリアム・ペリーは、ビル・クリントン元大統領下で国防長官を務め、数学者、エンジニア、スタンフォード大学の教授でもあった。つまり、シリコンバレーの基準でも馬鹿ではないはずだ。
しかし、ペリーは2014年にニューヨーカー誌に、ホームズは「もう1人のスティーブ・ジョブズと呼ばれることがあるが、それは不適切な比較だと思う。彼女はスティーブにはなかった社会的意識を持っている。彼は天才だったが、彼女には広いハートがある」とまで語っている。」
「ではこの有罪判決によって、残された人々、つまり彼女の支援者、投資家、かつてのファンたちはどうなるのだろうか。
おそらく、次の詐欺師の餌食になることだろう。シリコンバレーの約束はあまりにも甘いので、私たちはどうしてもそれを求めてしまうのだ。不老不死。暗号通貨。空飛ぶ車。火星。デジタル・ハーモニー。比類なき富。」
セラノス創業者のエリザベス・ホームズへの有罪評決は、創業者に「聖域」などないことを意味している(WIRED)
「ホームズの事件は、ここ10年で最も注目されるシリコンヴァレーの裁判であると同時に、スタートアップの文化そのものに対する告発とみなされてきた。創業者の思い上がりは、どの時点で詐欺になるのだろうか? 元連邦検察官のメレンドレスは今回の判決を「先例」と呼び、司法省によるスタートアップの取り扱いにおいて画期的な事件になる可能性があると指摘する。
シリコンヴァレーのほかの企業にとってこの事件は、スタートアップが罰を受けずに逃げ切るには限界があること、そして政府が常に目を光らせていることを思い出させるものになるかもしれない。」
最近の「その他不正」カテゴリーもっと見る
元裁判官と東証元社員 金融商品取引法違反の罪で在宅起訴(NHKより)
金融庁出向中の裁判官、インサイダー取引容疑で特捜部に告発…東証社員も金商法違反容疑で(読売より)
「山口組トップ・司忍を名乗り、顧客企業を脅した」三菱UFJ銀行の“京大卒”副支店長が脅迫容疑で逮捕〈事件はなぜ公表されなかったのか?〉(文春オンラインより)
府営住宅の一室にペーパー会社、「マネロン」に悪用か 中国籍と日本人の会社役員を容疑で再逮捕(京都新聞より)
風俗店を許可なく内偵調査、虚偽の報告書作成 名古屋国税局の幹部を訓告処分(中日新聞より)
地区連銀元幹部がインサイダー取引 監督情報で金融株取引―米司法省(時事より)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事