東芝粉飾事件で経営者の刑事責任追及が見送られるという記事。
「東芝の会計不祥事を巡り、歴代3社長の刑事責任追及が見送られる公算が大きくなった。東京地検特捜部が7日までに、証券取引等監視委員会に対し「事件化は困難」との見方を伝えた。利益の水増しが金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑に当たるか検討したが、個人の刑事責任を問うには証拠が不十分と判断したもようだ。」
日経は最後まで「粉飾」「不正」という言葉を使わないことに決めたようです。
「パソコン事業での修正額は2008〜14年度の約7年で総額約600億円に上った。
ただ実際に部品のやりとりがあり架空取引ではなかったほか、他メーカーも同じような取引をしていた。検察はこうした実態を踏まえ、利益の水増しは多額だが、個人の刑事責任を追及するには至らないと判断したもようだ。」
これは利益を上乗せして、部品などの有償支給を行う取引のことをいっているのでしょうか。有償支給をしていて、しかも、その際の未実現利益を消去していないメーカーが本当にあるのであれば、当局は、個別に是正を指導するか、少なくとも注意喚起の文書を公表して、是正の方向に持って行くべきでしょう。しかし、金融庁がそのような改善策をとっているという話は全く聞きません。要するに、金融庁は企業会計改善のための地道な取り組みをサボっているということでしょうか。
あるいは、そういう取引が他メーカーであるにしても、東芝のような巨額の利益操作に使っているというよりは、厳密処理を行う場合のコストを考慮して、重要性で説明がつくような範囲内でやっているのかもしれません。そうだとすると、他メーカーがやっているからといって、東芝の経営者を追及しない理由にはならないでしょう。スピード違反をみんなやっているからといって、50キロオーバーを取り締まらないわけにはいきません。
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